イタリア人デザイナー、マウリツィオ・マウロ(Maurizio Mauro)がニューヨークで表現するブランド哲学

MAURIZIO MAURO

ニューヨークを拠点に活動するイタリア人デザイナー、マウリツィオ・マウロ(Maurizio Mauro)は、時代を超えたエレガントで高品質なデザインで知られている。イタリアの南イタリアの小さな町、アマルフィ海岸から数キロの場所で生まれたマウロは、四人兄弟の末っ子として育ち、幼い頃から、彼は美的感覚、芸術、ファッションに対する好奇心と強い関心を示してきた。

フィレンツェのポリモーダ(Polimoda)でファッションデザインを学んだ後、マウロは、フェラガモ(Ferragamo)やランボルギーニ(Lamborghini)、トッズ(Tods)などの有名イタリアンファッションハウスなどでデザイナーとしてのキャリアを積む。またその後、上海に駐在し、ブランドのクリエイティブディレクターとして勤務した経験も持つ。上海から帰国し、ニューヨークへ渡ると、自身のブランド「The Mister MM by Maurizio Mauro」を設立。現在は、クリエイティブ・ディレクターとしてニューヨークとイタリアを行き来し、様々なプロジェクトを手掛けている。

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Courtesy of The Mister MM by Maurizio Mauro

そんなマウロが手がける「The Mister MM by Maurizio Mauro」は、イタリアの伝統的な技術を継承しながらも、モダンな視点を融合したコレクションが特徴だ。熟練したイタリア人の縫製職人や工芸家たちと緊密に連携しながら作られる作品には、イタリアの美学とブランドのアイデンティティが吹き込まれている。

本記事では、マウロへのインタビューを通して、彼のデザイン哲学、幼少期の影響、そして彼のキャリアにおける経験について、OSFが掘り下げていく。

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マウリツィオ・マウロ(Maurizio Mauro)

ー 最初に、南イタリアで過ごした幼少期時代や、デザイナーを志したきっかけについて教えてください。

私は南イタリアの小さな町で育ちましたが、そこでは人々がファッションについて語ることが非常に少ない環境でした。ですがその当時から、私の興味関心は、ミラノやフィレンツェのようなファッションの大都市にあったと言えます。私がファッションデザイナーを志す大きなきっかけとなったのは、11歳のときに、祖父がファッション雑誌を買ってくれたことでした。その雑誌には、ミラノやフィレンツェの最新トレンドが掲載されており、ページをめくるたびに夢中になっていきました。

一方で、私が育った環境は、地に足をつけることの重要性を教えてくれました。謙虚であり続け、現実を見失わないこと。これらの価値観は今でも私の人生やキャリアにおいて大きな支えとなっています。また育った町の建築、色彩、自然の香り、そして地域の風習は、私のデザインに多くのインスピレーションを与えてくれています。

しかし同時に、その環境から飛び出し、自分の創造力を世界で表現する必要性も感じていました。その結果、ニューヨークを拠点にし、グローバルな視点でデザインに取り組むようになったのです。

ーフェラガモやランボルギーニ、トッズなどの経験は、現在のキャリアにどの様に生かされていますか。

有名なファッションハウスで働くことは大きな名誉であり、同時に大きな責任でもありました。ポリモーダを卒業してすぐ、21歳でフェラガモやランボルギーニ、トッズといった大手で働き始めましたが、こうした大手企業では、クリエイティビティとビジネスの密接な関係を学ぶことが出来たと思っています。彼らは、芸術的な側面を追求する一方で、製品を販売するための実用性や機能性も重要視していたので、私にとって、このバランスを理解することが、デザインの幅を広げる重要な経験となりました。

ーその後、上海へ駐在し、クリエイティブディレクターとしての勤務されたのですか?

はい、そうです。イタリアから上海に移り住み、クリエイティブディレクターを務めたことは、私にとって大きな挑戦であり、大きな成長の機会でもありました。最初は、コピーされた製品に依存していたチームを再教育するところから始め、オリジナルのアイデアを生み出すプロセスを一から構築しました。これは非常に困難な仕事でしたが、結果的には全員が独自のデザインを生み出すようになり、大きな成功を収めることが出来ました。この経験があったからこそ、ファッションが私の道であると、確信出来たのです。

ーなるほど。ご自身のデザインにおいては「完璧主義」と評価されることがあるそうですが、それはどの様な点からだと思いますか?

それは、私が常に全てのディテールに細心の注意を払っているからでしょう。プロジェクトに取り組む際、どんなに微細な要素も見逃さず、すべての工程を厳密に監視し、最終的な製品が真の完璧さを持つことを目指しています。私にとって、デザインとは単なる創作行為ではなく、細部への徹底したこだわりが表現される舞台なのです。

幼少期から私は完璧を追求する性格で、紙に書き間違えた瞬間にはそのページを破り捨て、新たに書き直すことを厭いませんでした。この「精度」への執着こそが、私のデザインの本質であり、私が大切にしている信念なのです。この追求が、私の作品に独自の深みを与え、見る人々に強い印象を残すことにつながっていると信じています。

ーイタリアの職人たちとの連携を通じて、高品質な製品を作り出すためにどのような取り組みを行っていますか?

The Mister MM の製品は、経験豊富なイタリアの職人たちによって製作されているため、私自身が毎日数時間にわたって職人たちとコミュニケーションを取りながら、すべての工程に目を光らせています。物理的な距離があっても、緊密に連携し、すべての細部が完璧に仕上がるようにしているのです。こうした密な連携こそ、グローバルに高品質な製品を作り上げるための鍵となっています。

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ーThe Mister MM のサステナビリティとインクルーシブデザインに対するアプローチについて教えてください。

サステナビリティは、環境や社会への配慮を深く考えたファッションの在り方を意味します。私は、オーガニック素材の使用だけにとどまらず、製品の寿命にも焦点を当てています。The Mister MMでは、高品質な製品を製作し、長く愛用されるものを提供することで、廃棄物の削減を図り、持続可能なプロセスの実現を目指しています。

さらに、私は多様性と包括性を重視しており、実際に私のチームにはさまざまなバックグラウンドを持つメンバーが揃っています。こうした個性的な人々がもたらす異なる視点とエネルギーは、私たちのクリエイティブなプロセスに新たな息吹を吹き込んでくれるのです。ファッションの世界は進化を遂げており、性別や年齢、肌の色を超えた多様な美しさが評価される時代となっています。これこそが、私たちが目指す未来の姿であり、多様性を受け入れることこそが、真の革新を生む源だと信じています。

ー今後、どの様なプロジェクトを予定していますか?

実は最近、ブランド初となるウェディングドレスのコレクションを発表しました。これまではイブニングガウンやガラ専用のドレスを中心に手がけていましたが、友人やクライアントからの依頼を受けたことがきっかけとなり、ウェディングドレスにも挑戦することになりました。

また、現在いくつかのショールームでコレクションを展開しており、トランクショーも計画中です。お客様との親密なコミュニケーションを通じて、パーソナライズされたドレスを提供できるよう心がけ、今後もニューヨークを拠点に、イタリアと連携しながら新たな挑戦を続けていきたいと考えています。

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マウリツィオ・マウロ(Maurizio Mauro)
The Mister MM by Maurizio Mauro クリエイティブ・ディレクター

南イタリアのアマルフィ海岸近くで生まれ、四人兄弟の末っ子として育つ。フィレンツェのポリモーダ(Polimoda)でファッションデザインを学んだ後、フェラガモ(Ferragamo)やランボルギーニ(Lamborghini)、トッズ(Tods)などの有名イタリアン・ファッションハウスで経験を積む。その後、上海に駐在し、ブランドのクリエイティブディレクターとしても勤務。現在はニューヨークを拠点に、イタリアの伝統技術と現代的な視点を融合させた、自身のブランド「The Mister MM by Maurizio Mauro」を展開する。