グッチ(Gucci)、25%減収でケリング2025年第1四半期決算に深刻な打撃

Gucci

フランスのラグジュアリーグループ、ケリング(Kering)が、苦しい年初を迎えている。4月23日(現地時間)に発表された2025年第1四半期決算によると、売上高は38億8,300万ユーロ。前年同期比で14%の減収となり、ブランド全体の足取りの重さを物語る数字となった。

最大の要因は、グループの稼ぎ頭であるグッチ(Gucci)の不振だ。グッチの売上は前年同期比で25%減(実質ベース)。なかでも直営店舗の売上が25%減、卸売は33%減と大幅な落ち込みを見せた。来店客数の減少に加え、商品ラインの刷新が消費者の期待に追いついていないことが、結果に表れている。

前任のアーティスティック・ディレクター、サバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)は、“タイムレスな魅力”を軸にブランド再構築を図ったが、期待されたインパクトには至らず、2年足らずで退任。そして今年3月、ケリングはバレンシアガ(Balenciaga)のデムナ(Demna)を新たなアーティスティック・ディレクターとして起用することを発表した。現在はバレンシアガで最後のクチュールコレクションの準備中であり、7月から正式にグッチを率いる見込みだ。

地域別に見ても、数字は軒並みマイナスに転じている。アジア太平洋地域が25%減、西ヨーロッパと北米が13%減、日本も11%減と、世界規模での需要減速が浮き彫りとなった。グッチ以外のブランドも例外ではなく、サンローラン(Saint Laurent)が9%減、マックイーン(McQueen)やブリオーニ(Brioni)などを含む「その他のブランド」は11%減に。唯一明るい兆しを見せたのは、ボッテガ・ヴェネタ(Bottega Veneta)で、全カテゴリーにおいて売上が堅調に推移し、前年同期比で4%増を記録した。加えて、ケリング アイウェア(Kering Eyewear)およびケリング ボーテ(Kering Beauté)も安定した成長を見せている。

会長兼CEOのフランソワ=アンリ・ピノー(François-Henri Pinault)は、発表に際して次のようにコメントしている。

「予想していた通り、ケリングは年初から困難なスタートを切りました。このような環境下において、私たちは戦略および財務目標の達成に向けてアクションプランを着実に実行し、各ブランドの市場におけるポジショニング強化に注力しています。業界が直面しているマクロ経済的な逆風に備え、警戒を強めており、現在の状況からより強く立ち直ることができると確信しています。」

今、投資家やファッション業界関係者の注目が集まるのは、グッチが再び“時代の寵児”としての輝きを取り戻せるかどうかという点だけではない。7月に始動予定のデムナ体制に対する期待は大きいが、それだけで現状を打開できるわけではないからだ。

ケリング全体の課題は、クリエイティブな刷新にとどまらず、米国における関税問題や、中国をはじめとするアジア圏の消費者心理の低迷など、地政学的・経済的なリスクとも密接に関係している。ブランド戦略と並行して、米国の関税問題やアジア圏の消費低迷といった外的要因への対応も迫られる中、ケリングが“第2の成長期”へと歩を進めるのか、それとも調整局面を長引かせるのか、その分岐点はすでに目前にあると言えるだろう。

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