この秋、パリのラ ギャラリー ディオール(La Galerie Dior)とアズディン・アライア財団(Azzedine Alaïa Foundation)が、史上初のパートナーシップによるダブルエキシビションを開催する。焦点となるのは、ディオールの熱心なコレクターであり、その美学に強い敬意を抱いていたアズディン・アライア(Azzedine Alaïa)だ。
アライアが築いた秘蔵コレクション
アライアは、生涯を通じて数多くのクチュリエ作品を収集してきた。その中でも特に重要なのが、約600点に及ぶクリスチャン・ディオール(Christian Dior)関連の作品群である。これらは現在アズディン・アライア財団により大切に保管されており、今回のエキシビションではそのうち100点以上が初公開される予定だ。
展示は2025年11月20日から2026年5月3日までラ ギャラリー ディオールで行われる。作品には、創設者であるディオール自身のドレスに加え、イヴ・サン=ローラン(Yves Saint Laurent)、マルク・ボアン(Marc Bohan)、ジャンフランコ・フェレ(Gianfranco Ferré)、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)といった歴代デザイナーの手掛けたピースも含まれる。
二人の巨匠を並置する試み
さらに、2025年12月1日からはアズディン・アライア財団の会場(マレ地区)において、アライアが収集したクリスチャン・ディオールのデザイン約30点と、自身の作品約30点を並べた展示がスタートする。1956年にわずか数日間だけディオールのアトリエに勤務した経験を持つアライアは、その厳格な環境を鮮明に記憶しており、今回の展示は「ニュールック」の創造者がアライアに与えた影響を探る場ともなる。
サイヤールによるキュレーション
両展覧会のキュレーションは、アズディン・アライア財団ディレクターのオリヴィエ・サイヤール(Olivier Saillard)がガエル・マミン(Gaël Mamine)とともに担当する。
「クリスチャン・ディオールのモデルは、アズディン・アライアが生涯にわたり追い求めた relentless(執拗な)探究心を証明しています。ドレスの神秘や、軽やかなペチコートを“立たせる”繊細な構造を探し求め、彼は青年期の夢の対象を巧みに集め上げました」とサイヤールは語る。
出版物の刊行
また同展覧会に合わせて、出版物も発表される。ラ ギャラリー ディオール展のカタログ『Azzedine Alaïa’s Dior Collection』は、ローレンス・ベナイム(Laurence Benaïm)、アレッサンドラ・ロネッティ(Alessandra Ronetti)、オリヴィエ・サイヤールによるエッセイを収録し、リッツォーリ(Rizzoli)から11月19日に刊行される予定だ。また、アズディン・アライア財団の展示に合わせて、ダミアーニ(Damiani)より『Azzedine Alaïa and Christian Dior, Two Masters of Couture』が12月に発売される。
モンテーニュ通り30番地に位置するラ ギャラリー ディオールは、2022年3月にオープンしたアートと記憶の場であり、これまでに100万人以上の来場者を迎えてきた。館内では、モデルやスケッチ、写真、アーカイブ資料、アクセサリーなどを通じて、クリスチャン・ディオールから現代に至るパリ・オートクチュールの本質を辿ることができる。
開館時間は毎日11時から19時まで(火曜休館)。最終入館は17時30分で、1月1日、5月1日、12月25日は休館日となっている。
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