4月1日(現地時間)、フランスのメゾン「メゾン マルジェラ(Maison Margiela)」は、新たなオートパフューマリーコレクション「センツォリウム(Scentsorium)」を発表した。同コレクションは上海で開催された2026年秋冬ウィメンズコレクションの場で披露され、ブランドにとって1988年の創業以来、初となるパリ以外でのランウェイ発表という意味でも象徴的な出来事となった。
今回発表された「センツォリウム」は、6種のジェンダーレスなクチュールフレグランスで構成されるラインであり、ブランドはこれを「感情、原料、そして香りの関係性を探求する」試みと位置づけている。ラインナップには「静寂の閃光(Blaze of Stillness)」「静かなる怒り(Silent Fury)」「苦悩と歓喜(Anguish and Awe)」「しなやかな勇気(Tender Defiance)」「儚い多幸感(Delight in Despair)」「忘我という衝動(Fit of Folly)」が含まれる。

これまで2012年に誕生した「レプリカ(Replica)」ラインを中心に、ノスタルジックで親しみやすい香りによって支持を集めてきたマルジェラにとって、今回のコレクションは明確な方向転換である。「レプリカ」が広い層に向けた“入口”として機能してきたのに対し、「センツォリウム」はより高濃度かつコンセプチュアルな香りを特徴とする、いわば“クチュール”に位置づけられる存在だ。
香りを“解体と再構築”する設計思想
「センツォリウム」の開発は、元クリエイティブ・ディレクターのジョン・ガリアーノ(John Galliano)および現クリエイティブチームの文脈の中で構想された。開発期間には3年以上が費やされ、複数の段階において綿密な試作と改良が重ねられたという。
香りの設計は、マルジェラのファッションにおける手法と同様に、素材を削ぎ落とし、再構築し、アクセントを重ねるというプロセスに基づいている。ブランドはこのアプローチを「外科的な感覚精度」と表現しており、原料の構造そのものに手を加えながら、抽象的な感情を嗅覚的に翻訳する試みとなっている。
各香りは「欲望と憧れの緊張」や「不安の中の希望」といった具体的かつ複雑な感情から着想を得ており、全体を通してメタリックなニュアンスが特徴として貫かれている。
フレグランス市場における“クチュール化”の加速
マルジェラのクチュールフレグランス市場参入の動きは、決して単独の戦略ではない。近年、ファッションブランドによるハイエンドフレグランスへの進出は加速しており、香水は単なるプロダクトではなく、ブランドの世界観を最も純粋に表現するメディアとして再定義されつつある。
ロレアルの決算においてもフレグランスは成長領域として位置づけられており、消費者側でも香料濃度や原料、ストーリー性に対する理解が深まっている。マス市場から、より選別された価値を求める方向へのシフトが進行していると言える。
日本ではファッションブティックから先行展開
なお、日本で「センツォリウム」は、4月24日よりメゾンのファッションブティックにて先行発売される。全6種(各75mL)で、価格は6万2700円に設定されている。
従来のフレグランスとは異なり、 同コレクションはまずウェアやバッグ、シューズを扱うファッションブティックにおいて展開され、販売も同領域のスタッフが担う。その後、ロレアル グループが展開するフレグランスブティックおよび専門スタッフによる販売へと広がる予定である。
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