2月15日(現地時間)、ビブー モハパトラ(Bibhu Mohapatra)は、ニューヨーク ファッションウィークにて、2026年秋冬コレクションを発表した。
過去2シーズンに引き続き、ショー会場にはアッパー・イーストサイドに位置する「ザ・ピエール・ア・タージ・ホテル」を選出。格式高い赤いカーテンとクラシカルな内装に包まれた空間で、インドの精神的系譜に深く根ざした女性像——ヴェーダ時代の女性賢者「ブラフマヴァディニー(Brahmavadinī)」へのオマージュを披露した。
「装飾」ではなく「権威」としての女性
今季のビブー モハパトラが描いたのは、ミューズではなく、知と意志を宿す存在としての女性である。ブラフマヴァディニーとは、家庭内の役割を超え、究極の知と精神的解放を追求した女性聖者たち。男性学者と同等に認められ、ヴェーダ哲学を修め、聖典に名を刻んだ彼女たちの姿は、女性性と男性性の調和というテーマを象徴している。
その思想は、シルエットの構築に明確に表れていた。ゴールドのエンボス加工ジャカードで仕立てられたクロップドジャケットとロングスカートのセットアップは、鋭利なショルダーラインとウエストのカットで緊張感を演出しつつ、しなやかなドレープで柔らかさを保つ。知性と官能、構築と流動——対極の要素を均衡させる造形は、まさに今季の核だ。

聖なる色彩のドラマ
カラーパレットは、修道院や寺院の神聖な色調から着想を得たもの。バーガンディ、プラム、ゴールド、アイボリー、ストーン、オニキス、カッパー。とりわけ印象的だったのは、深いプラムの構築的トップスに、透け感のあるボルドーのスカートを合わせたルック。レザーグローブを加えることで、静かな威厳と現代的エッジを共存させていた。
一方で、鮮烈なイエローのドレスは、エネルギーの象徴としてランウェイを照らす。立体的なショルダー、ウエストを絞ったシルエット、繊細な装飾。そこには「チャクラ刺繍」に通じる生命力と覚醒のメッセージが宿る。さらにボリューム感のあるイエローのバルーンドレスでは、構築的フォルムと柔らかな動きが交差し、力強さと祝祭性が同時に立ち上がった。



刺繍と素材が語る精神性
そして、今季を語る上で欠かせないのが、4つの刺繍に込められた物語——ファイアフライ、アタイア フライヤー、パンジャラ、チャクラである。それぞれが光、上昇、構造、エネルギーを象徴しており、ブランドが掲げる思想を体現する役割を担う。
ホワイトの総レースドレスに施された繊細な刺繍とフェザーのディテールは、精神的超越を思わせる軽やかさを放ち、ブラックのシアートップに緻密なビーディングを重ねたイブニングルックでは、内なる強さと神秘性が表現された。ゴールドジャカードのオフショルダードレスやケープ付きガウンは、古代と現代をつなぐ儀式的な存在感を放つ。
素材もまた、物語の一部だ。カスタムギピュールレース、金糸ジャカード、ヴィーガンレザー、サテン、シルクモスリン、上質ウール、カシミヤ。重厚さと軽やかさ、光沢とマット感を対比させることで、二元性の調和というテーマを布の質感そのものに落とし込んでいる。



ジュエリーと完成された調和
アクセサリーでは、3シーズン連続でタニシュクUSA(Tanishq USA)とのコラボレーションを実施。首元を彩るネックレスやイヤリングは、単なる装飾を超え、知と権威を表す。また、インドの職人技への敬意を感じさせる精緻な輝きは、衣服と響き合い、女性像をより強固なものへと昇華させていた。

今季のビブー モハパトラが作り上げた「女性とは何か」という問いへの応答。それは、装飾ではなく権威、従属ではなく知、外面的な美ではなく内面から放たれる均衡であり、その思想は、布と構造、色と光を通じて、しっかりと語られていた。
ビブー モハパトラ 2026年秋冬コレクションの全てのルックは、以下のギャラリーから。
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