2月23日(現地時間)、バーバリー(Burberry)は、ロンドン ファッションウィークにて、2026年秋冬コレクションを発表した。
舞台となったのは、テムズ川北岸に佇む歴史的建造物オールド・ビリングスゲート(Old Billingsgate)。19世紀、世界最大級の魚市場として機能していたその空間は、この夜、ロンドンの“闇”を象徴する劇場へと姿を変えた。屋外には実物のタワーブリッジ、内部にはそのレプリカが対角線上に架かる。ランウェイには樹脂で作られた“水たまり”が点在し、雨に濡れた舗道を再現。深いブルーの照明と漆黒のコントラストが、冬のロンドン特有の湿度と冷気を視覚化した。
ダニエル・リー(Daniel Lee)にとって、同コレクションは就任3年目の節目となる発表である。クリエイティブと経営体制の移行期を経て揺らいだブランドを、再びカルチャーの中心へと引き戻す試みは、ここ数シーズンで確かな輪郭を帯びてきた。
今季のテーマは、冬の英国を肯定することにある。リーは「誰もがどこかへ向かっている。誰もが出かけていくのだ」とコメント。2月の憂鬱なロンドンに対し、「外へ出よ」と背中を押すメッセージである。
コレクションは全56ルック。軸となったのはレザーだ。バターのように柔らかなブラックのプランジェレザー、インクブルー、バーガンディ、プラムといった深いジュエルトーンが、夜の都市に溶け込む艶を描く。レザーのコート、スカート、スーツ、スヌードが次々と登場し、都会的でありながら耐久性を備えたワードローブを提示した。



同時に、パーティーウェアの要素も織り込まれる。スパンコール、ビーズ、刺繍タッセル、フリンジが揺れ、流麗なサテンのラップドレスやバイアスカットドレスが、ダンスフロアを想起させる躍動を帯びる。ハンドニットに何千ものビーズとスパンコールを施したルックや、アールデコ調の筒状ビーズ刺繍が施されたフラッパー風ドレスは、歩くたびに光を反射し、ロンドンのナイトライフの艶を象徴する。


もちろん、トレンチコートの存在は揺るがない。トレンチを生み出したメゾンとして、バーバリーはそのDNAを再編集する。ベルト付きカフス、スロートラッチ、エポレットといったディテールは、コートのみならずリブニットドレスやモヘアフーディーにも転用された。プリーツ入りシルクポプリンやフリルカラーのシルクファイユで仕立てられた“外出のためのトレンチ”は、クロークに預けることをためらわせるほどの存在感を放つ。
シアリングは断ち切り仕上げやバーバリーチェックのインターシャで展開され、ファーフリーのラインナップにおいても豊かな触覚性を表現。ボンバージャケットやレインコートといったユーティリタリアンなアイテムは、滑らかなラムスキンレザーへと昇華された。伝統的なチェックは、スカーフやアウターにふんわりとした質感で再解釈され、ブランドのアイコンを現代的に更新する。






フロントロウにはケイト・モス(Kate Moss)、ライラ・モス(Lila Moss)、オリヴィア・ディーン(Olivia Dean)、スケプタ(Skepta)、ステラン・スカルスガルド(Stellan Skarsgård)らが来場した。
バーバリー2026年秋冬コレクションは、暗く湿った2月のロンドンにおいて、それでも外へ出るという意思を纏うための装いである。夜に向かう身体、街の鼓動、そして英国らしさの再定義。ダニエル・リーは、170年の歴史を持つメゾンの核——英国性、アウターウェア、チェック——を保持しながら、都市の現在形へと更新してみせたのである。
バーバリー 2026年秋冬コレクションの全てのルックは、以下のギャラリーから。
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