9月23日(現地時間)、グレン・マーティンス(Glenn Martens)率いるディーゼル(Diesel)は、ミラノ ファッションウィークにて、2026年春夏コレクションを発表した。
今回のショーは、透明な卵型カプセルに収められたモデルがミラノ市内18ヶ所に配置され、来場者や一般の人々が街を歩きながらルックを“発見”するという参加型のプレゼンテーションで実施。QRコードを読み込むことで、場所を探し当てる仕掛けも組み込まれ、ショーは都市全体を舞台にしたゲームのような体験へと変貌を遂げた。
マーティンスは「これはディーゼルの民主主義なのです。ファッションは遊びであり、私たちはそのゲームをプレイしています。誰もが最前列に座れる。ルールを守り、そして破る。For Successful Living!」と述べている。
このディーゼルのコレクションのリポーター役を務めたのは、ファッション系インフルエンサーのライアス(Lyas)だ。Instagram(@ly.as)のアカウントで活動するライアスは、今年6月のパリ・メンズファッションウィークでジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)によるディオール (Dior)のデビューショーに招待されなかったことをきっかけに、パリのローカルバーで一般向けのウォッチパーティーを主催。その取り組みはSNS上で拡散され、大きな反響を呼んだ。また今季のファッションウィークではロンドン、ミラノ、パリの3都市でウォッチパーティーを企画し、一般の人々や若い世代がリアルタイムでコレクションを共有し、議論を交わせる場を作り出している。こうしたライアスの試みは、まさにマーティンスが掲げるディーゼルの民主主義という概念と共鳴するものだ。
アップサイクルと“生の美”
コレクションはブランドの新本社を拠点に発表され、廃棄衣料を積み上げた劇的な舞台セットが設置された。そこに示されたテーマは「アップサイクル」と「再生」である。
例えば、生地は酸化や摩耗を思わせる加工が施され、退廃的な世界を生き抜いたかのような質感を帯びる。また、サテンデニムはリサイクルポリエステルを用い、レーザーで摩耗感を表現。内側から漂白した“X線効果”のデニムは衣服の内側を露わにし、服そのものを再解釈する視覚効果を生み出していた。




シルエットは、身体にぴたりと寄り添うドレスから、立体的なボリュームを強調したジャケットまで幅広く展開。淡いブルーのストラップレスドレスや、グリーンとブルーを組み合わせたルック、光沢を放つパープルスカートが鮮やかに登場した。さらに、荒々しくカットされたレザースカートや、炸裂するように配置されたバイカーストラップ、意図的にほつれた縫い目やトロンプルイユ(だまし絵)プリントが加わり、グレン・マーティンスが築き上げてきた“解体美学”が一層際立つ。
ディーゼルらしさを作り上げる上で欠かせないアクセサリーには、動物の骨格を思わせる彫刻的なジュエリーや、パヴェダイヤルを備えた腕時計、存在感あるオーバーサイズのアセテートサングラスがアクセントとなった。今季は、柔らかな曲線を描く未来的なフォルムの新バッグ「ロード-D」が加わり、足元にはメタリックに編み込まれたサンダルや厚みのあるローファーが揃い、荒廃と再生を同時に感じさせる未来的ビジョンを強調していた。





ファッションが特権的な空間から街へと解き放たれる瞬間を作り出し、マーティンスの創造性とメッセージをより多くの人々へ届けることに使命をかけたディーゼルの2026年春夏コレクション。
なお、デザイナーのマーティンスは、間もなく始まるパリ ファッションウィークにて、メゾン マルジェラ(Maison Margiela)2026年春夏ショーでのデビューを控えており、次なる舞台にも注目が集まる。
ディーゼル 2026年春夏コレクションの全てのルックは、以下のギャラリーから。
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