ファン エヌワイシー(FANG NYC)2026年秋冬が再解釈する90年代レイヴの自由

FANG NYC
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2月10日(現地時間)、「ファン エヌワイシー(FANG NYC)」はニューヨーク ファッションウィークの公式カレンダーの前夜に、2026年秋冬コレクションを発表した。ブランドにとって2度目となるランウェイショーは、ジェンダー・エクスパンシブなアイデンティティをより明確に打ち出す場となった。

今季の着想源は、1990年代のベルリンにおけるレイヴカルチャー。ポスト冷戦下に生まれた解放感、創造性、そして共同体としての自由の精神を、現代の社会的空気のなかに呼び戻そうとする試みである。デザイナーのファン・グオ(Fang Guo)が参照したクリスチャン・シュテムラー(Christian Stemmler)の写真シリーズ『Anfang/Beginning: Berlin 1994–99』が示すのは、親密でリアルな人間関係と、再構築されたユーティリタリアンな装い。そのムードは、今季のディテールや素材使いに静かに反映されていた。

印象的だったのは、ブラックを基調としたセンシュアルなルック群だ。チューブトップにシアー素材を重ね、ミニスカートとロングブーツを合わせたスタイルは、身体のラインを強調しながらもどこかDIY的な空気を漂わせる。首元のスタッズ付きチョーカーや、スカート脇に揺れるグロメット付きストラップが、クラブカルチャーの反骨性をさりげなく示唆する。90年代の挑発性をそのまま再現するのではなく、ミニマルなプロポーションへと研ぎ澄ませていた。

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一方で、ストライプやチェックといったクラシックなモチーフは、ニットやボディコンシャスなシルエットを通して再解釈された。ティールやパープルのチェッカーボード柄トップスは、無駄を削ぎ落としたフォルムによって現代的な緊張感を獲得。淡いベージュのチェック柄ニットドレスは、肌に沿うラインと繊細な透け感が共存し、抑制と官能のあわいを描き出す。

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ブランドの核であるユニセックスの思想は、シルエットの構築にも明確に表れている。デニムを再構築したスカートやハーフ丈ボトムスは、ジップやパネル切り替えによって機能性と造形美を両立。ニーハイブーツとの組み合わせは、ジェンダーの境界を意図的に曖昧にしながら、新たなバランスを提示する。身体性を強調するルックと、構築的で中性的なスタイルが同じ空間に共存することで、陰と陽、柔と剛の対比が立ち上がっていた。

また、今季を語るうえで欠かせない素材がレザーである。クロップド丈のレザージャケットや、スタッズを効かせたシアーなブラックドレスは、インダストリアルな質感をまといながらもエレガンスを失わない。ワークウェア由来のディテールやメタルパーツは、単なる装飾というよりも、ブランドのコアデザイン言語として機能していた。

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ファン エヌワイシーの2026年秋冬は、過去への単なる回帰ではない。90年代の自由と共同体意識を参照しながら、それを現代の文脈へと再接続するコレクションだ。

分断が語られる時代において、ファッションが提示できる「希望」のかたちを探る試み。その姿勢こそが、今季を通して最も強く印象に残った。

ファン エヌワイシー 2026年秋冬コレクションの全てのルックは以下のギャラリーから。

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