3月19日(現地時間)、ファンダメンタル(FDMTL)は楽天ファッションウィーク東京にて、2026年秋冬コレクションを発表した。
今季のFDMTLが提示したのは、「AIが人間の創造性を超えるかもしれない時代の“直前”」という、極めて現代的かつ哲学的なテーマである。テクノロジーが急速に進化し、生成AIが映像やイメージを無限に生み出す現代において、人間による創造の価値とは何か。その根源的な問いが、このコレクションのコアに据えられている。
デザイナーの津吉 学(Gaku Tsuyoshi)は、幼少期に触れたゲーム『ドラゴンクエストIV』に登場するAIキャラクターの記憶を起点に、現在のAI時代を重ね合わせる。未熟で不完全だったAIに感じた“もどかしさ”と“人間らしさ”。その記憶は、完璧さを志向する現代のテクノロジーとは対照的に、創造における人間性の本質を浮かび上がらせた。
ランウェイに登場したルックは、ファンダメンタルのシグネチャーであるデニムを軸にしながらも、単なるクラフトの延長にとどまらない。パッチワークや刺し子といった手仕事の積層は、あえて“時間”や“痕跡”を可視化することで、生成AIによる均質的なアウトプットとは異なる、人間固有の不完全さと個性を際立たせている。



シルエットは比較的ミニマルでありながら、素材とディテールの密度が高く、静かな存在感を放つ。加工のレイヤーや色の濃淡、布地の重なりが織りなす奥行きは、まるで時間そのものを纏っているかのようだ。
また今季、足元で印象を残したのが、ヴァンズ(Vans)とのコラボレーションによる足袋スニーカーである。クラシックなスニーカーをベースに、つま先を分割した足袋構造を取り入れることで、西洋的なプロダクトと日本的な身体感覚を融合させた一足に仕上がっている。刺し子やパッチワークを思わせるテクスチャーも相まって、ファンダメンタルらしいクラフト感が際立つ。


また、ショー全体を通して感じられたのは、「人の手による創造」をあえて強調する姿勢である。音楽もまた人によって奏でられたものであり、デジタル生成とは異なる“身体性”を伴った表現としてコレクションと共鳴する。これは単なる演出ではなく、AI時代における人間の存在意義を問い直すメッセージそのものだ。





AIが創造の領域にまで踏み込む今、ファンダメンタルはその潮流に抗うのではなく、むしろその狭間に立つことで、人間の創造性の価値を再定義する。完璧ではないからこそ愛おしい。効率的ではないからこそ意味がある。その視点は、これからのファッションの在り方に対しても確かな問いを投げかけている。
フェンディ 2026年秋冬コレクションの全てのルックは以下のギャラリーから。
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