ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)2026年秋冬:静けさの中に宿る、新たなエレガンス

Giorgio Armani Fall/Winter 2026 Collection
View Gallery 58 Photos

3月1日(現地時間)、ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)はミラノ ファッションウィークにて、2026年秋冬コレクションを発表した。

会場となったアルマーニ劇場のランウェイに広がったのは、静謐でありながら確かな意志を持つ世界。テーマは「新たな展望(NEW HORIZONS)」。探求心という内なる旅路をコレクションの核に据え、見慣れた景色の中にも未知の発見を見出そうとする姿勢が、全体を貫くフィロソフィーとなっている。

シルエットという彫刻

今季のシルエットは、柔らかな雰囲気とくっきりとした輪郭を兼ね備え、構築的な要素と開放感が絶妙なバランスで共存していた。

注目すべきは、肩パッドを排したジャケットの仕立てだ。従来のテーラリングが持つ強さではなく、着る者の体に自然に沿うような柔らかな強度を追求。コートとブルゾンはゆったりとしたオーバーサイズシルエットで、リラックスとエレガンスを同時に実現し、一方でフロアレングスで流れるようなワイドパンツは、マスキュリンラインを際立たせながらも、歩くたびに空気を含んで揺れていた。

00002 giorgio armani fall 2026 ready to wear

00004 giorgio armani fall 2026 ready to wear

00006 giorgio armani fall 2026 ready to wear

グレーのフランネル素材によるスーツスタイルでは、ブロードショルダーでありながら肩パッドを使わないという構造的なアプローチが際立つ。バーガンディのレザーベルトとブローチがアクセントとして機能し、モノトーンのグレーに温度と物語を与えている。ロングコートは体を包み込むようなシルエットで、シルエットそのものが彫刻的な美しさであった。

00005 giorgio armani fall 2026 ready to wear

素材が語る物語

素材の選択にも、アルマーニの確固たる哲学が宿る。フランネル、カシミヤ、クレープ、ベルベット――いずれも触れた瞬間に心地よさを感じさせる素材が中心に据えられ、肌との対話を大切にしたセレクションだ。

特にフューチャーされているのが、シアリングやファーを用いたアウター。グレーのシアリング素材によるロングコートは、まるで大地に根ざした岩のような重厚感を持ちながら、ドレープによって軽やかさも獲得。大きなファーバッグをクロスボディで携えたルックでは、チャーコールのタートルネックニットとホワイトのバルーンパンツという対比が、コレクション全体のカラートーンを象徴的に体現した。

00015 giorgio armani fall 2026 ready to wear

00011 giorgio armani fall 2026 ready to wear

カラーパレット:静かなる詩情

グレー、セージ、ブルーを中心とした今季のパレットは、都市の夜明けと山の稜線を同時に想起させる。純白のホワイトが放つ鋭いアクセントが、全体のトーンに光をもたらす。

そしてバーガンディ。コレクションの後半、照明がわずかに変化したランウェイでバーガンディが登場すると、物語は一気に夜の帳へと引き込まれる。シルクやジャカードを用いたガウン、ドレープの利いたバンドゥースタイルのジャンプスーツ、刺繍が施されたチュニックとパンツのセットアップ。夕暮れを映したような背景の中、それらは一層軽やかに、優雅にドレープを描く。

チュニックやドレスに施されたしわ加工や刺繍は、山岳風景からインスピレーションを得たもの。山の頂きを思わせる立体的なクラフツマンシップと繊細なディテールが、衣服に地形のような奥行きをもたらしている。

00019 giorgio armani fall 2026 ready to wear

00021 giorgio armani fall 2026 ready to wear

00026 giorgio armani fall 2026 ready to wear

00030 giorgio armani fall 2026 ready to wear

重ね着という哲学

スタイリングにおいて今季特に印象的だったのが、レイヤリングの巧みさである。プルオーバーやニットの下からのぞくシャツの襟やスカーフが、スタイリングにさりげない奥行きを添える。ネイビーのジャカードジャケットとシルクのドレープトップを合わせたルックでは、素材の質感の対話が、全体に豊かなテクスチャーをもたらしている。

アクセサリーもまた、コレクションの思想を体現する。バーガンディのレザーベルトが繰り返し登場し、異なるコーディネートにおいて一貫したトーンのアンカーとなっている。ラウンドフレームのサングラスや、控えめながら存在感のあるブローチが、着る者のパーソナリティを引き立てる。

00047 giorgio armani fall 2026 ready to wear

00050 giorgio armani fall 2026 ready to wear

00056 giorgio armani fall 2026 ready to wear

過去と現在の自由な往来

アルマーニが描く女性像は、静かな自信に満ちている。新たなイメージをまといながらも、時代を越えて過去と現在を自由に往来する存在だ。1975年のブランド創設以来、ソフト仕立てのアンコンストラクテッド・ジャケットという革命からはじまったアルマーニの哲学は、このコレクションでも変わらず根底に流れている。素材と歴史に宿る要素を見つめ直し再解釈することで、本質を守りながらエレガンスはより洗練されたかたちへと進化する。

フィナーレでは、クリエイティブ・ディレクターのシルヴァーナ・アルマーニ(Silvana Armani)がモデルたちとともにランウェイに登場し、観客の拍手に応えた。ネイビーのセーターとトラウザーズというシンプルなスタイルで中央に立つそのたたずまいは、過剰な装飾を排し、本質だけで語ったコレクションそのものを体現しているかのようだった。

©SGP
©SGP

ショーのサウンドトラックは、イタリアの伝説的歌手ミーナ(Mina)が歌う「A costo di morire」の未発表カバーで幕を閉じた。この楽曲はジョルジオ・アルマーニへの敬意を込めてミーナがショーに贈ったものだ。

音楽が静寂に溶け込む中、ランウェイには、衣服の記憶と、「本当に必要なものとは、何か」という静かな問いかけが余韻を残した。

ジョルジオ アルマーニ 2026年秋冬コレクションの全てのルックは以下のギャラリーから。

Copyright © 2026 Oui Speak Fashion. All rights reserved.