イタリアのラグジュアリーファッションブランド グッチ (GUCCI) は、韓国ソウルの繁華街・梨泰院の路地で29日夜、ハロウィーンを前に集まった多数の若者らが折り重なるように倒れ150人以上の死者を出した雑踏事故を受け、ソウルで開催予定だったファッションショーを中止した。
韓国は、ラグジュアリーブランドの製品を購入する熱心な消費者が急増し、ブランド市場において急成長を見せている重要な国の一つだ。
今年9月にはアミ パリが、ソウルのカロスキル地区に旗艦店をオープンさせ、10月のソウル ファッション ウィークで2023年春夏コレクションを発表したばかり。また今年初めに、ディオールはソウルで初のショーを開催し、聖水洞地区に新しいコンセプト ストアをオープンさせた。グッチ (Gucci) は現在、昨年ソウルにオープンさせた2番目の旗艦店であるGucci Gaokを含む、約6店舗を韓国に展開している。
本来は、今年5月にイタリアで発表されたグッチのカプセルコレクション Cosmogonie show にいくつかの新しいピースを加えたランウェイショーを、韓国現地時間の11月1日にソウルの景福宮で開催する予定だった。しかし、ソウルの梨泰院で起きたあまりにも悲惨なこの雑踏事故を受け、喪に服す意を込めて急遽開催の中止を表明したのだ。
ブランドは、「私たちの心は、命を落としたり負傷した方たちへの悲しみでいっぱいです。国葬の期間を尊重し、韓国文化財庁との調整により、グッチは予定されていたイベントを続行しません。」との声明を発表。
31日夜現在、事故の死者は155人、負傷者は152人で、死傷者の合計が300人を超えた。死者の7割超は10~20代で、中高生も6人含まれる。外国人の犠牲者は、日本人の女性2人を含む14か国26人に上った。
ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は31日の会議で「同じような事故が起きないよう根本的な対策が何よりも重要だ」と述べ、韓国政府は、警察や行政の判断によって安全対策を講じられるよう再発防止を徹底するとの方針を示している。
一方、韓国の国会では1日、今回の事故をめぐる行政の対応について検証する委員会が開かれ、与野党双方から厳しい追及が予想される。