5月13日(現地時間)、グッチ(Gucci)は、ロンドンのテート・モダン(Tate Modern)にて、2025年クルーズコレクションを発表した。グッチのクリエイティブ・ディレクター、サバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)にとってこのクルーズショーは、初の開催であった。
現在はミラノを拠点とするグッチだが、メゾンの礎はロンドンにあり、今もなお深い絆で結ばれている。そのルーツとは1897年に、創業者グッチオ・グッチ(Guccio Gucci)がサヴォイ・ホテル(Savoy hotel)で荷物係兼エレベーターボーイとして働いていた頃にまで遡る。グッチオは、働きながら宿泊客である国際的なエリートたちのスタイルを観察し、高級スーツケースとバッグのブランドを立ち上げることを名案。1921年にフィレンツェに自身の名を冠したブランドを設立し、イタリアのヴィーニャ・ヌオーヴァ通りにグッチ1号店をオープンさせた。
デ・サルノは、こうしたグッチオの原点であるラグジュアリーなラゲージへの愛と、ロンドンの多彩な文化や多様性に敬意を表したかった。このデスティネーション・ランウェイをロンドンで開催すると決定するまでに、デ・サルノは何度も街へ足を運んだ。そしてその度に、この街のコスモポリタンでクリエイティブなエッセンスを凝縮したいと熱望したのだった。
世界的に有名なテート・モダンを貸切り行われたショーには、デュア・リパ (Dua Lipa)、サルマ・ハエック(Salma Hayek Pinault)、ポール・メスカル(Paul Mescal)などのセレブリティや業界関係者らが次々に集結した。
2025年のクルーズ・コレクションは、柔らかなパステルカラーと大胆な原色を巧みに取り入れ、マスキュリンとフェミニンがシームレスに融合したエレガントなスタイルを提案した。
ファーストルックには、キャメル色のレザージャケットにフェミニンな印象のシフォンブラウスの組み合わせ。ボトムには、オーバーサイズのジーンズを合わせ、クラシックな印象に少しばかりの気怠さを醸し出すモダンなワードローブを完成させる。その後も、ミュウミュウを彷彿させる超ミニ丈のホットパンツや、白シャツにデニムなどリラックスさと洗練さのある、日常的なスタイルが現れた。
また、どのルックにも、英国のクラシックなユニフォームと、イタリアの洗練されたデザインの見事な融合が見られる。重厚なレザージャケットが多彩なカラーで登場し、それに合わせられた軽やかなオーガンザ素材のスカートやドレスが、対極にある両素材を一体化させ、絶妙なバランスを体現。そこに、首元に飾られたパールのネックレスが加わり、ロマンチックなムードを一層引き立てた。
バッグは、1970年代のアイコンであるスムースレザーとモノグラムで再構築したブロンディバッグが主役に。ダークブラウン、ボルドー、キャメル、ブラックといった豊富なカラーバリエーションで展開され、スタイルに多様な表情を齎していた。
また、無数のビーズのフリンジが大胆に揺らめくコートやドレスは、クルーズコレクションに相応しい陽気で明るいムードを作り出し、ゴージャスな存在感を放つ。更に、胸元がベビードール風のブラトップに切り替わり、乙女らしい可憐さとセクシーさを一つにしたドレスもあった。
フィナーレは、グリーンやブルー、ホワイトといった鮮やかなカラーに、繊細なオーガンジが大胆に靡くドラマチックなドレスで締めくくられた。草花の香る芝生が生い茂る自然の緑と爽やかに共存するランウェイにふさわしく、神秘的で美しいフォルムを見せるこれらのドレスは、グッチの伝統や気品、格調の高さを存分に表現した。
コレクションの全てのルックは以下のギャラリーから⇩
Related