J.プレス(J. PRESS)2026年スプリングコレクション:“Take Ivy”という原点回帰

J.プレス(J. PRESS)2026年秋冬コレクション
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2月16日(現地時間)、J.プレス(J. Press)は、ニューヨーク ファッションウィークにて、2026年スプリングコレクションを発表した。

今季の試みは、単なるアーカイブの再解釈ではない。1965年に刊行された日本の写真集『Take Ivy』を起点に、アイビーリーグのキャンパスに息づいていた“実際の着こなし”を、現代の視点で再構築するプロジェクトである。そこにあったのは、様式の模倣ではなく、精神の継承だ。

会場は木製の書棚が並ぶクラシカルな空間。東海岸の名門大学の図書館を思わせる静謐なセットの中で、モデルたちは抑制された足取りで歩を進めた。演出されたノスタルジーではなく、あくまで自然体。提示されたのは、時間を経ても色褪せない“生きているアイビースタイル”である。

テーラリングの再定義

今季の軸にあったのは、スーツとブレザーというブランドの根幹をなすテーラリングだ。

幕開けを飾ったのは、ダークグリーンのブレザーにレジメンタルタイ、淡いグリーンのトラウザーズを合わせたルック。構築的でありながら過度に主張しないシルエットは、ボクシーにもタイトにも寄らない。身体を包み込みつつ支配しないその設計に、クラシックと現代性の均衡が見て取れる。

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ウィンドウペーンのジャケットにサーモンピンクのトラウザーズを合わせたスタイリングでは、従来のアイビー像に柔らかな色彩感覚を加えた。伝統を守りながらも、色で遊ぶ余白を残す。この“軽やかさ”こそが、今季の鍵である。

ダブルブレステッドのネイビーピンストライプスーツにストローハットを添えた佇まいは、アメリカントラディショナルの美学を凝縮した一幕。厳格さの中に潜むユーモア。規律と遊び心を同時に成立させるバランスに、ブランドの成熟がにじむ。

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スポーツとキャンパスカルチャー

一方で、“Take Ivy”の本質であるカジュアルなキャンパススタイルも随所に展開された。

「1966」のナンバリングニット、鮮やかなオレンジの“T A K E I V Y” Tシャツ、レターマンカーディガン。いずれも単なるヴィンテージの引用ではなく、現代のワードローブとして再編集されたピースである。過去を忠実に再現するのではなく、今の身体に合う形へと翻訳する。その距離感が絶妙だ。

ショーツの提案も印象に残る。ネイビーのカットソーに素足を合わせたスタイル、アイボリーのショーツに赤のラガーシャツを重ねた軽快な装い。さらには自転車を携えたモデルの登場が、キャンパスの日常を想起させ、ショーに動きと温度を与えた。アイビーはフォーマルな記号ではなく、生活の延長線上にあるというメッセージが明確に示される。

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マドラスとパッチワークの継承

スタイルの持続性は、シルエット以上に、素材の記憶に宿る。

パッチワークのマドラスパンツは、多色使いでありながら決して騒がしくない。計算された配色と直線的なシルエットが、伝統素材を現代的に昇華する。

さらに、ブラウンのタータンチェックジャケットや、ミリタリーテイストのベルト付きジャケットも登場。アイビーの中に英国的ニュアンスやサファリ要素を織り交ぜることで、単一の“アイビー”ではなく、広がりを持つスタイルへと進化させた。

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世代を超えるアイコン

今季特筆すべきには、モデルの年齢層の幅広さもあった。若々しい学生像だけでなく、白髭を蓄えた成熟したモデルがトレンチやチェックジャケットを着こなす姿は、「アイビーは若者のもの」という固定観念を静かに覆す。

それは、“人生とともに育つワードローブ”という思想である。アイビーは一過性のトレンドではなく、時間とともに身体に馴染むスタイルなのだというメッセージが明確に伝わってきた。

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伝統を更新するブランドの現在地

1902年創業という長い歴史を持つJ.プレスは、往々にして「守りのブランド」と見られがちだ。しかし今季は違う。原点に立ち返ることで、むしろ未来を提示した。

“Take Ivy”というアーカイブは、過去を懐かしむためのものではなく、「なぜこのスタイルが今も続いているのか」を問い直すための起点なのだ。真正性、実用性、品位。その三要素が揺るがない限り、アイビースタイルは更新され続ける。

J.プレス 2026年 スプリングコレクションの全てのルックは以下のギャラリーから。

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