シモーン・ロシャが織りなすジャンポール・ゴルチエのオートクチュール讃美

View Gallery 38 Photos

1月24日(現地時間)、ジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)は、オートクチュール 2024年春夏コレクションをパリ・オートクチュール・ウィークで発表した。

今季、同ブランドのオートクチュール 2024年春夏コレクションを作り上げたのは、才能溢れるアイルランド生まれのデザイナー、シモーン・ロシャ(SIMONE ROCHA)だ。ジャンポール・ゴルチエは、2020年1月のオートクチュールコレクションの発表をもってファッションデザイナーを引退し、2021年からはゲストデザイナーを招聘する形式で、オートクチュールの継続を行っている。

シモーン・ロシャは2010年からロンドンを拠点に、「シモーン・ロシャ(SIMONE ROCHA)」という彼女自身のブランドを展開している。デビュー以来、薄暗さとロマンチックさが程よく交じり合うロシャの作品は、コケティッシュな女性たちのハートを鷲掴みにしてきた。

しかし、今回のゴルチエとのコラボレーションでは、フランスのアイコニックなメゾンのデザインコードと彼女独自のスタイルを初めて融合させ、オートクチュールの世界に足跡を刻む。ロシャがこのコレクションで目指したのは、女性らしさを醸し出すと同時に、挑発的で遊び心と官能的な感覚を呼び起こすアイテムを作ることだった。さらに、ゴルチエの歴史的美学に深く根ざした要素、少なくとも過去20年間の要素を掘り下げ、それが現代にどう響くかを熟考した。こうしたロシャのウィットに富んだディテールは、コレクションにふんだんに詰め込まれていた。

ショーのオープニングには、まばゆい幻覚を見ているようなシアーのメタリック・オーガンザのクリノリンドレスが登場。ゴルチエへのオマージュとして胸元には「タトゥーコレクション」に登場したサードアイが手書きで描かれており、その他にも蛇や手のひらなど、神秘的なモチーフが随所に見られる。

水兵帽を被った海軍ルックには、煌めくメタリックの花びらが散りばめられたり、ボーダー柄に並べられたリボンが、袖まで長く伸びたトップスが合わせられた。骨盤部分にパッドでボリュームが出されたショーツは、女性が持つ本来の力強さを強調しているよう。

ゴルチエのコーンブラを巧みに取り入れたグリーンやブラックのタフタコートは、花びらのようにスカートが広がり、そしてレースの羽根が特徴のスリムなバッスルドレスは見る者を圧倒するまでの美しさを放つ。一方で、ロシャのパールへの愛情は、バロック・パールで飾り立てた神秘的なコルセット・ドレスに完璧に昇華されていた。

また、多くのルックには、ガーターベルトやリボン、シャクの花がモチーフとして巧みに組み込まれており、層を重ねたチュールが創り上げる柔らかなドレスたちは、その圧倒的な存在感と美しさを見事に具現化していた。

そんなロシャが表現した、淡く可憐なフェミニンさの中に、違和感なく溶け込んでいたゴルチエのアイデンティティ。この絶妙なバランスによって、両者の才能とクリエイティビティが、見事に調和され、一つにまとまっていた。二人の才能溢れるデザイナーのあまりにも自然な融合に対して、心から感嘆の意を表す者が多かったのも納得だ。