2月14日(現地時間)、ケイト バートン(Kate Barton)は、ニューヨークのルーム・スタジオ(LUME Studios)にて2026年秋冬コレクションをプレゼンテーション形式で発表した。今回バートンが選んだのは、新たなテーマを打ち出すことではなく、これまで築き上げてきたブランドの核を、さらに深く掘り下げることだった。
今季のコレクションでひときわ印象を残したのは、ドレーピングの扱いである。それは単なる装飾ではなく、構造そのものとして機能し、布の張りとゆるみを通して身体のラインを描き出す。カシミヤや上質なメリノウールといった素材は、重みと柔らかさを兼ね備え、折り重なるフォルムに豊かな奥行きを与えた。シルエットは明確な意図のもとに設計され、布が身体にどう落ち、どのように動くのかを起点に構築されている。
バートンにとって「実験」とは、奇抜さを追い求めることではない。理解を深めるための探求である。今季は要素を絞り込むことで、素材の質感や身体との関係性によりフォーカスした。ウエストに寄り添う布の感覚、肩にかかる重みの移ろい、日常の動きとともにある衣服の存在感。ビジュアルだけでなく、“着る感覚”そのものを重視したコレクションに仕上がっている。



現実とAIの境界を揺さぶる演出
テクノロジーもまた、ブランドの重要な要素となった。会場では、実在のモデルがリアルな衣服を着用しながら、AI生成の背景の中で撮影されるインスタレーションが展開された。
衣服はあくまで物理的な存在として提示される一方で、背景は流動的なデジタル空間へと変化する。リアルとバーチャルの境界を曖昧にするこの演出は、視覚的なインパクトを超え、知覚や現実性について問いかける試みにもなった。
AIによる参加型体験
今回のプレゼンテーションでは、フィドゥーシアAI(Fiducia AI)が発表した「SpeedShotX Visual AI Lens」も導入された。IBM watsonx、IBM Cloud、IBM Object Storageを基盤に構築されたこの技術により、来場者はモバイルブラウザからルックを撮影することで、各ピースの詳細情報にアクセスできる。
さらに、AIを活用したバーチャルフィッティングも実施。選ばれたルックをリアルタイムで自身の身体に重ねて体験することが可能となった。ここでもデジタルは主役ではなく、フィジカルなクラフトを補完する存在として機能している。
変わらない軸、進化するブランド
素材、構造、テクノロジー、そして顧客体験。バートンのアプローチを貫くのは一貫した実験精神である。新しい構築技法や表現方法を探りながらも、ブランドのビジュアル言語はぶれない。
ケイト バートン 2026年秋冬コレクションの全てのルックは、以下のギャラリーから。
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