2月27日(現地時間)、ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)とラフ・シモンズ(Raf Simons)が手がけるプラダ(Prada)は、ミラノ ファッションウィークで、「2025年秋冬コレクション」を発表した。
スチールのバーが張り巡らされた無機質な空間に、クラシックな花柄のカーペットが敷かれたランウェイ。一見相反するこの二つの要素は、今シーズンのコレクションが投げかける問いを象徴している。「女性らしさとは、決まった形に押し込められるものなのか?」——答えは明らかだった。
今季のプラダが描いたのは、「こうあるべき」というルールを超越した女性像だ。ウエストを締め付けるのではなく、ゆるやかに揺れるドレス。柔らかく流れるような生地ではなく、重厚でしっかりとした素材。縫い目は堂々と露出し、端は切りっぱなしのまま。そのすべてが、「完璧であること」への執着を振り払うようなデザインだ。それは、自然な美しさを見直すための実験であり、現代の女性に押し付けられた価値観を再構築する挑戦でもある。




装飾のあり方もまた、既存のルールを揺さぶる。ジュエリーはただ飾るものではなく、服そのものに溶け込み、個性の延長線上にあるものとして提案された。ビジューが縫い込まれたニット襟、ブローチのような輝きを放つチューブトップ、ネックラインからさりげなく垂れるアールデコ調のチェーン。これらは「誰かのための美しさ」ではなく、「自分自身が楽しむ美しさ」を強調しているようだった。



そして、足元に目を向ければ、プラダの美学はさらに鮮明になる。リボン付きのヒールやつま先が見えるレザーブーツと並び、意図的に汚れた白いスニーカーが登場。まるで「清潔感が美の基準である」という固定観念に異議を唱えるかのように、完璧であることよりも、リアルな生き方を反映したスタイリングがそこにあった。
色の組み合わせもまた、クラシックなバーガンディやスカーレットの中に、シワ加工が施されたシャルトリューズのケープが差し込まれることで、形式に縛られない遊び心を演出している。


このコレクションに一貫していたのは、「女性らしさ」に対する決まった正解を求めない姿勢だろう。フラワープリントのAラインドレスが持つ可憐さと、タイトなホルターネックトップの持つ力強さという、対照的なスタイルが同じコレクション内で共存することで、「女性はこうあるべき」という固定観念そのものを揺るがしている。
ウエストを締め付けず、自由に揺れるドレスも、スポーティなウィンドブレーカーと組み合わせたトップスも、それをどう着るかはすべて本人の自由。その選択肢の広がりこそが、プラダが提案する新しいフェミニティなのだ。




現代において、多くの女性がSNSやメディアによって作られた均一な「美の基準」に追い立てられている。しかし、プラダが今回のコレクションを通じて発信したのは、「美しさは決められた型にはまるものではない」、そして「女性らしさは、時代とともに自由に変化していい」という力強いメッセージだ。
ファッションは、単なる服ではなく、個々の自由を解き放つ力を持っている。プラダが描く未来の女性像は、より自由に、より大胆に、そして何よりも、自分自身の美しさを映し出すものになっていくだろう。
プラダ 2025年秋冬の全てのルックは、以下のギャラリーから。
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