ラルフ ローレン(Ralph Lauren)は、ブランドのDNAに深く根付くアメリカン・ラグジュアリーを、より研ぎ澄まされた現代的表現へと昇華させた「2026年プレフォール コレクション」を発表した。スポーツからイブニングまでを横断する実用性、そして抑制された官能性。その両立こそが、今季の核である。
コレクション全体を貫くのは、大地を思わせる落ち着いたカラーパレットだ。マッシュルームブラウン、チョコレート、カーキグリーン、ストーン、グラナイトといった色調が多用され、自然と都市生活の双方に寄り添うワードローブを形成している。
テーラリングは今季も重要な軸を成す。チョコレートブラウンのスーツは、艶のあるシャツをあえてボタンを外して合わせることで、メンズウェア由来の構築性に柔らかな色気を添えた。

ドレスは、ラルフ ローレンが長年参照してきた1930〜40年代のハリウッド黄金期のムードを、現代的に再解釈したものだ。シルク素材のラップドレスは、流れるような縦のラインを描き、身体の動きに合わせてしなやかに揺れる。一部のドレスには、内部に螺旋状のメタルワイヤーが仕込まれているとされ、軽やかな見た目と構造的な安定感を両立させている。
素材使いにおいては、コントラストが一層際立つ。リキッドのような光沢を放つサテンやシルクに対し、バーニッシュ加工を思わせるレザーやスエードを組み合わせることで、視覚と触覚の両面に緊張感をもたらした。レザージャケットやボンバージャケットは、タフさとエレガンスを同時に体現する存在として機能している。




さらにコレクションのスタイリングの象徴となったのが、幅広で長さのあるレザーベルトである。テーラードジャケットやニット、ドレスの上から無造作に巻き付けることで、シルエットを引き締めると同時に、コレクション全体のムードを統一する役割を果たしている。
アウターウェアでは、トレンチコートやバルマカーン、シルク素材のブルゾンが登場。いずれも控えめなデザインながら、コーティング加工による耐候性が施され、実用性とラグジュアリーの融合というラルフ ローレンらしい思想が反映された。




「2026年プレフォール コレクション」は、過剰な変化や演出に頼ることなく、ブランドが培ってきた価値観を静かに更新する。自然に根差し、現実の生活に即しながらも、洗練と自信を纏う女性像。その一貫した世界観が、今季も揺るぐことなく提示された。
ラルフ ローレン「2026年 プレフォールコレクション」の全てのルックは、以下のギャラリーから。
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