リボルブ(Revolve)、初の生成AIによるコレクションを販売|ファッション業界の効率性と革新性を示す

生成AIがファッション業界を急速に変えつつある現代において、ファッションEコマースサイトのリボルブ(Revolve)が大胆な一歩を踏み出した。同社は、AIスタジオ メゾン・メタ(Maison Meta)と共同制作し、生成AIによって生み出されたアパレルの取り扱い開始した。

リボルブが初めて披露するこのAIによるコレクション「The Future of Fashion」は、今年4月にニューヨークのスプリング・ステューディオで開催された「AI ファッション・ウィーク(AI Fashion Week=AIFW)」のコンペティションで、優勝を勝ち取ったデザイナーの作品を実際の製品に再現したものだ。

AI ファッション・ウィークのコンペティションでは、世界50カ国以上から400人以上の参加者がAIが生成したコレクションを提出。ヴォーグジャパンの編集コンテンツ責任者ティファニー・ゴドイ(Tiffany Godoy)氏を始め、セリーヌのメンズキャスティング責任者ナタリー・ハズアウト(Natalie Hazzout)氏、アディダスの副社長エリカ・ワイクス=スニード(Erika Wykes-Sneyd)氏、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションのマシュー・ドリンクウォーター(Matthew Drinkwater)氏、リボルブのCEO兼共同設立者であるマイケル・メンテ(Michael Mente)氏らが審査員を務めた。

現在リボルブのサイトには、AI ファッション・ウィークの受賞者であるPaatiffの建築家であるホセ・ソブラル(José Sobral)氏、Molnmのマティルデ・マリアーノ(Matilde Mariano)氏、そしてOpéのファッション・スタイリスト、オペ・マジェク(Opé Majek)氏がデザインした3つのコレクションが販売されている。各コレクションは、10〜12ピースで構成されており、販売価格は228ドルから1,598ドル。サイズはXSからLまでを展開。ユニークなコレクションアイテムは少量生産で在庫が限られている為、通常リボルブで取り扱いのある商品の販売価格よりも高めの価格設定だ。

 

Revolveに並ぶAI コレクション「The Future of Fashion」。 Courtesy of Revolve

リボルブの自社ブランド担当CEOであるミッチ・モーズリー(Mitch Moseley)氏は、AIが生成したこれらのコレクションのデザインと生産を指揮した。しかし、建築家から転身したデザイナーら3名とリボルブの間の正確な利益分配の取り決めは、まだ公表されていない。

商品開発は、3名の受賞デザイナーたちが、リボルブの広範なサプライチェーンと専門のプロジェクト・マネージャーへアクセスし、ブランドのアトリエ・チーム、商品開発者、パターン・メーカー、技術者と緊密に連携しながら実施された。彼らと共同で、最適な素材選びを行い、AIが生み出したデザインを洗練させていく過程まで、必要なプロセスの全てを社内生産出来たという。

実際にこのプロジェクトの遂行は、リボルブにとって、今後の革新的な商品開発を進める為の実験的なステップであったに違いない。AIによるファッションデザインの商品化は、膨大なデータを活用し、トレンド、スタイル、顧客の嗜好、開発者自身の美的感覚など、さまざまなインプットをもとに、アルゴリズムを使用して衣服のイメージを誘導し、生み出していく。また、これらのAI画像は、リアルな衣服を生産したり、新しいデジタル・ファッションの一般性を開発するためにも使用可能だ。デザインプロセスにまだ時間はかかるものの、AIの統合によって製造プロセスが加速されると、全体的な効率向上にも繋がる。

一方で、制作過程において、現在のテクノロジーの制約も浮かび上がった。それは、一部のデザインにおいて、機能性や快適な着心地、総合的な美的センスに焦点を当てながらも、物理的な製造に合致する為の微調整が求められたことだった。そうした中で、ファッションデザイナーのホセ・ソブラルは、建築の専門知識を活かしてデザイン段階の技術的な側面に焦点を当て、貴重な見識を提供した。

Courtesy of Revolve

消費者がパーソナライズされた体験とユニークなファッションの選択を求め続ける中、AIデザインの服への進出は、小売業者と顧客の双方に新たな可能性を開いていける。これは、人間のデザイナーとインテリジェントなアルゴリズムとのコラボレーション力を示すと共に、従来の創造性の概念に挑戦するものだ。また、今回のリボルブでのAIファッションコレクションの販売は、他の業界プレーヤーが同様の道を探るための先例にもなるだろう。

前述したAI ファッション・ウィークのに関しては、11月16日から19日までの期間に「シーズン2」が開催される。今季の開催地にはミラノが選ばれ、11月後半には、再度ニューヨークのスプリングスタジオでの開催も予定されている。「シーズン2」では、受賞者を5名に増やし、制作プロセスを洗練させる為のガイドラインもより明確化するという。

また、AIスタジオ メゾン・メタのCEOであるシリル・フォワレ(Cyril Foiret)氏は、今後の展望として、ニューヨーク、ミラノ以外にも開催地を増やし、世界的な成長を視野に入れていることにも言及した。

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