1月22日(現地時間)、スキャパレリ(SCHIAPARELLI)のランウェイショーと共に、パリ 2024年春夏オートクチュールコレクションが開幕した。
プティット・パレ(Petite Palais)内で行われたスキャパレリ(SCHIAPARELLI)のショー会場には、ゼンデイヤ、ハンター・シェーファー、ジェニファー・ロペスなどの豪華セレブリティ達がフロントロウを飾る。
ダニエル・ローズベリー(Daniel Roseberry)の打ち出すシュルレアリズムなコレクションは、これまでも奇抜で、奇妙で、オーディエンスに衝撃的を与えてきたが、今季のオートクチュール 2024年春夏コレクションには、「宇宙」「テクノロジー」「ウエスタン」などの新たな要素が加わった。
ブランド創設者のエルザ・スキャパレリ(Elsa Schiaparelli)は、かつてシュルレアリズムの他に、「宇宙」という壮大なテーマを自身の美学に落とし込んでいた。それは、火星の研究で有名なイタリアの天文学者だった叔父のジョヴァンニ・スキャパレリ(Giovanni Schiaparelli)から影響を受けたものである。こうしたメゾンの歴史を踏まえて、ローズベリーはエルザ・スキャパレリの創り上げた伝統に深い敬意を示しながら、先進的な美へとブランドを発展させる。
例えば、淡い色合いのジャケットは、ショルダー、アーム、背中部分が編み込みの突起で覆われており、そのシルエットは、宇宙に潜む未確認生物、もしくは、ジブリ映画「天空の城 ラピュタ」に出てくるロボット兵のような風貌だ。同様に、パンツ全体にもこの立体的な編み込みのディテールが取り付けられ、なんとも独創的な世界観を作り上げていた。
また「テクノロジー」を要素に加えたルックでは、モデルのマギー・マウラー(Maggie Maurer)が、白のタンクトップとクリーム色のローライズカーゴパンツ姿で、赤ん坊のようなAIロボットを抱いて現れた。続いて、ドレス全体にスワロフスキークリスタル、回路基板、携帯電話、電卓などのY2Kテクノロジーがコラージュされたイブニングドレスも登場した。
ローズベリーはこのドレスを、「2007年以前のテクノロジーをちりばめた、マザーボードとストラスマイクロチップのドレス」と呼ぶ。ショーノートによると、これらはメゾンの空間とそこにあるものの可能性への憧れ、そして創始者エルザが新しいものを生み出すために矛盾する要素を混ぜ合わせたという記録に繋がるものだという。
ローズベリーはアメリカのテキサスにルーツを持つが、そんな彼の故郷を彷彿させる「ウエスタン」要素も取り入れた。カウボーイを想起させる頑丈で力強いシルバーのベルトバックルは、大胆に曲線を描くパテントレザーのトップスと共に、オートクチュール独特の威厳を放つ。また、コルセットのように首の後ろまで編み上げられたファンネル・カラーや、歩く度に大きく揺れる長いフリンジとウエスタン調の刺繍が施されたクリーム色のシャツなどが、さらにアメリカ西部の雰囲気を醸し出していた。
その他のルックでも、星や宇宙、物事のパラドックスを連想させるアヴァンギャルドさを全体に散りばめ、予想外の真新しさを表現した。同時に、この尖った奇想天外な世界の中で、オートクチュールの上流階級に根ざすエレガントさが見事に調和されていることも、ローズベリーの作品の素晴らしさであるだろう。
スキャパレリ オートクチュール 2024年春夏コレクションの全てのルックは、以下のギャラリーから。
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