ステファン ローラン(Stéphane Rolland)、2026年春夏オートクチュールで描く「儀式としてのサーカス」

Stéphane Rolland
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1月27日(現地時間)、ステファン ローラン(Stéphane Rolland)は、パリ オートクチュールウィークにて2026年春夏オートクチュール・コレクションを発表した。

デザイナーが今季テーマに選んだのは「サーカス」。だが、それは色とりどりの衣装や道化師が踊る賑やかな見世物ではない。規律と緊張感に貫かれた、ひとつの「儀式」としてのサーカスである。

円環する時間、反復しない身体

「このショーは円であり、儀式として構想された。サーカスの幻影は、過去を再演するためではなく、変容させるために立ち現れる」──ショーノートに記されたこの一文が、コレクション全体を象徴している。

会場に設えられたランウェイは、始まりと終わりを明示しない円形の動線。モデルたちはその空間を静かに横切り、やがて視界から消えてゆく。この「出現と消失」のプロセスそのものが、ローランの提示する新たなクチュール体験の核心だった。

建築的なフォルムへと昇華されたサーカスの要素

今回のコレクションを貫くのは、サーカスのモチーフを具象的に模倣するのではなく、その本質を抽出し、建築的なフォルムへと昇華させる思想である。

深紅のカーペットと抑制された照明が会場に演劇的な雰囲気をもたらす中、衣服そのものは装飾的な過剰さを排し、造形の力だけで空間を支配していた。極端に張り出したショルダーライン、身体と布地の間に生まれる余白を計算したボリューム感、円弧を描くように流れるカッティング──それらはまるで彫刻のように、静止した瞬間にも緊張を孕んでいる。

色彩はホワイトとブラックを基調とし、ゴールドや深いボルドーが要所に配されることで、静謐な空気の中に鋭いコントラストが生まれていた。

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素材と光が織りなす「一瞬性」の美学

「サーカスは、身体、素材、光に導かれ、ほんの一瞬だけ甦る」とローランは語る。この言葉通り、ランウェイ上の衣服は、着用されて初めて完成する。

空気を含んでしなやかに揺れるシフォンやオーガンザと、構造を保持する硬質なファブリックが交互に登場し、モデルの歩みに応じて表情を変えてゆく。光が当たる角度によって浮かび上がる陰影もまた、デザインの一部として機能していた。

大きく円を描くマントやケープ、裾に向かって劇的に広がるドレスは、いずれも動きを前提とした設計である。それらは静止した状態では不完全であり、時間の中でのみ姿を現す「現象としてのクチュール」なのだ。

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ステファン ローランの2026年春夏オートクチュールは、サーカスという儚く幻想的な世界を借景としながら、オートクチュールの真髄をエレガンスに体現してみせた。

ステファン ローラン 2026年春夏オートクチュールの全てのルックは、以下のギャラリーから。

 

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