ロレアル(L’Oréal)とNVIDIA、生成AIを活用し次世代の美容体験を共同開発へ

NVIDIA

6月11日(現地時間)、ロレアル グループ(L’Oréal Groupe)は米国のAIチップメーカー「エヌビディア(NVIDIA)」と戦略的パートナーシップを結び、美容業界におけるAI活用を加速させると発表した。この発表は、6月にパリで開催されたテクノロジーイベント「Viva Technology」の記者会見「New Frontiers of Beauty」で行われ、両社は生成AIと3D技術を組み合わせることで、これまでにない新しい美容体験の創出を目指すとしている。

ロレアル グループのチーフ・デジタル&マーケティング・オフィサーであるアスミタ・デュベイ(Asmita Dubey)は、「生生成AIやエージェントAIといった変革的テクノロジーが消費者の期待を再定義する中、私たちは創造性とテクノロジーの両面から、これまでにない消費者エンゲージメントを実現することに注力しています。AIの可能性を創造性の強化に活かし、消費者のなりたい姿を現実に変えていくために、エヌビディアとの協業に非常に大きな期待を寄せています」と述べた。

一方、エヌビディアのリテール&消費財担当バイスプレジデントであるアジタ・マーティン(Azita Martin)は、「ロレアルとエヌビディアの連携により、美容分野におけるAIの可能性が最大限に引き出され、消費者の美容体験はさらにシームレスで、楽しく、満足度の高いものへと進化しています」と語った。

なお、ロレアルとエヌビディアの協業では、すでに複数の実用的なプロジェクトが始動している。

一つは、ロレアルが開発した生成AIコンテンツプラットフォーム「クレアイテック(CREAITECH)」だ。同プラットフォームでは、自社製品の3Dデジタルレンダリングを活用し、広告やマーケティングコンテンツの制作工程を迅速化・高品質化している。エヌビディアのAI基盤を使うことで、スケール性とクリエイティビティの両立を図り、ソーシャルメディアやEコマース、インフルエンサー施策におけるエンゲージメントの強化を狙う。

もう一つの注目プロジェクトは、ロレアルが立ち上げたAI駆動型のマルチブランド・ビューティーマーケットプレイス「ノリ(Noli)」だ。名称の由来は「No one like I(私のような人はいない)」。美容における製品発見と購入体験を再構築することを掲げており、ロレアルが長年蓄積してきた美容科学と消費者インサイトをベースに、肌診断とレコメンド機能を高度に統合している。100万件以上の肌データと数千種類の製品処方を解析するAIを活用し、最適な商品を選び、自宅に配送する仕組みを構築している。

さらにNoliは、エヌビディアおよびアクセンチュアとの協働により、「AIリファイナリー」と呼ばれる新たなAI開発基盤を導入。Microsoft Azure上に構築され、エヌビディアのAI Enterpriseソフトウェアを通じて迅速かつ責任あるAI導入を推進している。これにより、AIの進化スピードに対応しながら、個々の消費者に合わせた美容体験を大規模に提供することが可能になる。

美容とテクノロジーの交差点に立つロレアルは、AIによる顧客体験の変革を加速させており、今後も業界全体に与える影響が注目される。

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