7月11日(現地時間)、イタリアのラグジュアリー・ブランド、ブルネロ クチネリ(Brunello Cucinelli)は、今年の上半期の売上高が6億2,070万ユーロに達し、前年同期比で売上が14.1%増加(恒常為替レートで14.7%増)したことを発表した。この販売実績により、第2四半期の売上高は3億1,200万ユーロを達成し、第1四半期の3億900万ユーロを上回る結果となった。
クワイエットラグジュアリーのトレンドがファッション業界に押し寄せてからというもの、同ブランドの持続的な業績の成長は目覚ましい。
上半期の業績について、カーサ・ディ・モーダ(Casa di Moda )の会長兼クリエイティブ・ディレクターであるブルネロ・クチネリ(Brunello Cucinelli)は、「今年の前半は売上高の面で優れた結果を報告し、販売の質を考慮すると、利益も同様に期待できると考えています。当ブランドはグローバルなイメージにおいて非常にポジティブな勢いを感じており、これにより、2024年の売上成長率を約10%と見込み、適切な利益も見込んでいます」と声明の中で述べ、「2025年の春夏メンズの販売キャンペーンがほぼ終了し、ウィメンズが始まったことを考えると、現在の注文状況と2024年春夏の優れた販売結果を踏まえ、2025年にも約10%の健全な成長を見込んでいます」と続けた。
市場とチャンネル別の売上
ブルネロ クチネリの市場別の売上高を見ると、アメリカ大陸が2億2,560万ユーロの売上を記録し、前年同期比19.4%増と最も高い成長率を達成。この数字は、全体の売上高の36.4%を占める。北米大陸では主要都市だけでなく、リゾート地や地方都市でも、職人技が生きる高品質でエクスクルーシブな製品への需要の高まりが感じられ、特に高級デパートメントにおける顧客数の増加が際立った。
次いでアジア市場においては、1億7,400万ユーロの売上を達成し、前年同期比で14.3%の成長を記録。中国、日本、韓国、中東を含む全地域で非常に堅調な業績となった。
ヨーロッパ市場の売り上げは2億2,110万ユーロで、前年同期比で9.0%の成長を遂げた。同社は、ヨーロッパの全市場は、「アメリカ人およびアジア人の地元客や観光客が絶え間なく訪れ、最高級のラグジュアリーに対する非常に堅調な需要を示している」とした。
チャネル別に売上高を見ると、小売が3億9,520万ユーロで、14.7%増となり、卸売は13.1%増の2億2,550万ユーロであった。なお、同社は2024年6月30日時点で、126店鋪の小売ブティックを展開している。
ブルネロ クチネリが掲げる展望:持続可能な成長と技術革新
こうした上半期の好調な売上に加えて、同社は2024年秋冬コレクションの受注と初回完売の結果を受け、2025年にも約10%の売上成長率と利益を予測している。また、長期的な成長計画の一環として、2030年までに売上高を倍増させることを目指すと宣言。
こうした売上目標を達成するため、ブルネロ・クチネリは職人の生産能力を拡大するための大規模な投資を計画している。具体的には、2024年から2025年の2年間でソロメオ工場の規模を倍増させ、イタリア国内に新たな製造施設を開設するというものだ。これにより、次の10年間の生産能力を保証している。
またブルネロ クチネリは、ファッション業界におけるAIの導入にも意欲的だ。プレスリリースによると、同社は近々、AI技術を導入した新しいコーポレートウェブサイトを発表する。3年間の綿密な作業を経て作り上げられたこのプロジェクトは、人工知能と共に構想され、構築されたものであり、おそらく世界初の試みの一つであるという。
組織の変更
同社の取締役会に関しては、カミラ・クチネリ(Camilla Cucinelli)とカロリーナ・クチネリ(Carolina Cucinelli )が副社長に任命された。この他、取締役会は、2024年6月13日付で辞任したエマニュエラ・ボナディマン(Emanuela Bonadiman)の後任として、カティア・リーヴァ(Katia Riva)を新たに非常勤取締役に選任。リーヴァは、統制・リスク委員会および報酬・任命委員会に加わる。さらに、キアラ・ドリゴッティ(Chiara Dorigotti)が報酬・任命委員会の委員長に指名された。
ブルネロ クチネリは、1978年にイタリアでに設立された高級ファッション・ブランドで、2012年にイタリア証券取引所(Borsa Italiana)に上場している。最高品質のカシミア製品で知られ、現在は洗練された日常スタイルを提案するライフスタイルやレディ・トゥ・ウェアも展開。イタリアの伝統的な職人技と現代的なデザインを融合させ、倫理的で持続可能な発展を目指している。