7月15日(現地時間)、ハリー ウィンストン(Harry Winston)などを傘下に持つスウォッチ・グループ(Swatch Group)は、2024年上半期の財務報告書を発表し、売上および利益の減少が目立つ厳しい結果を示した。幅広い時計および宝飾ブランドで知られる同グループは、いくつかの主要市場で大きな逆風に直面している。
スウォッチ・グループの2024年上半期の売上高は34億4,500万スイスフラン(約36億1,725万米ドル)に達したが、これは前年同期比で14.3%の減少を示した(恒常為替レートでは10.7%減)。また、為替の影響によるマイナス効果も1億4,500万スイス・フランに及ぶ結果となった。
アジア市場の逆風:中国での低迷
2024年上半期の売上高に特に影響を与えたのが、中国、香港およびその他の東南アジア市場での高級品需要の低迷だ。同社のグループブランドは、中国(香港特別行政区とマカオ特別行政区を含む)および中国人観光客に大きく依存しており、東南アジア市場での高級品需要の大幅な減少は、売上および業績に大きなマイナスの影響を与えることとなった。しかしその一方で、スウォッチ(Swatch)に関しては、前年に比べて中国での売上が10%増加という結果を残した。
欧州では、グループの直営小売業が前年と同様のレベルで安定した売上を達成。一方で、地政学的な紛争により多くのヨーロッパの小売業者が不安を感じ、過剰在庫への懸念から再注文を控え、卸売売上が10%以上減少した。だが、スイスとスペインは例外的にポジティブな結果となった。
アメリカでは前年と同じ記録的な売上を達成した。また日本は、高級品の重要な市場の一つであり、スイス時計の輸出市場としても第3位で、前年に比べて30%以上の成長を遂げ、記録的な売上を達成。他の重要な国々である韓国、インド、およびアラブ首長国連邦も前年を大幅に上回る業績を記録した。
ブランド別の業績
ブランド別では、ラグジュアリー・ブランドのブレゲ(Breguet)、ブランパン(Blancpain)、およびオメガ(Omega)は特に厳しい市場環境の影響を受けたが、ハリー・ウィンストンは好調な結果に。
その他、スウォッチ、ティソ(Tissot)、ロンジン(Longines )は強いポジションを維持。また、オメガとスウォッチがコラボ発売したムーン・スウォッチ(the MoonSwatch )及び、スキューバ・フィフティ・ファゾムス・スウォッチ(Scuba Fifty Fathoms Swatch)の需要は調査期間中ずっと高く、新しい「Mission to the MoonPhase」モデルの「New Moon」と「Full Moon」、および3つの新しい「Mission on Earth」モデルの「Lava」、「Polar Lights」、「Desert」の成功によってさらに加速した。
未来への展望:中国市場の回復と成長
今後の見通しとしてスウォッチ・グループは、中国市場(香港特別行政区とマカオ特別行政区を含む)は年末まで高級品業界全体にとって厳しい状況が続くことを予想。しかし、中国の潜在力は依然として健在であり、「現在の状況は、低価格帯セグメントにおける同グループの各ブランドに、さらなる成長と市場シェア拡大の絶好の機会を与えている」と述べている。
また、日本と米国では、2024年後半にさらなる力強い成長が見込まれており、これはグループ独自の小売ネットワークへの投資によって加速されるだろうという見解に。欧州市場では、パリ・オリンピックの公式タイムキーパーとして参加するオメガが、世界のメディアからの恩恵を受けるだろうという展望を示している。
さらに「年初に導入したコスト削減プログラムが実を結び始めています。特に製造部門の業績への好影響は、下半期に本格化します」と同社は付け加え、2024年下半期には状況が大幅に改善すると述べた。