7月23日(現地時間)、仏ラグジュアリー界の巨大コングロマリットであるモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH Moet Hennessy ‐ Louis Vuitton SE)は、最新の決算報告で回復力を示し、2024年上半期に2%の有機的成長を達成したことを報告した。しかし、近年のラグジュアリー・ファッション市場の減速の影響を受け、アナリスト予想の2.89%増を下回る結果となり、パンデミックによる落ち込みを除けば2009年以来最低の成長率となった。
LVMHの2024年上半期の売り上げは、417億ユーロ(452億ドル)で、前年同期比で1%減少した。一方、第2四半期では209億ユーロ(227億ドル)の売上を記録し、前年同期比で1%増加。しかしながら、アナリストの予測である上半期の423億ユーロ(459億ドル)および第2四半期の215億ユーロ(233億ドル)には届かなかった。
この発表の後、同社の株価は最大6.5%まで下落。マーケットリーダーであるLVMHの業績不振は、ラグジュアリー業界が直面している厳しい現実を一層鮮明に浮き彫りにした。
こうした売り上げ鈍化の背景には、昨年2桁の伸びを示した中国市場での消費が低迷していることが挙げられる。日本を除くアジア市場の第2四半期売上高は14%減少し、第1四半期の6%減少からさらに落ち込みをみせた。
一方日本市場では、円安の影響で旅行者の購買が増え、引き続き売上増を記録した。それでも手放しに喜べないのは、円安により製品価格が低下し、加えて店舗の賃貸料は売上と共に上昇する可能性があるので、利益率に圧力がかかっているからだ。
ジャン=ジャック・ギオニー(Jean-Jacques Guiony)最高財務責任者は、中国市場の先行きを予測するのは難しいとしつつも、多くの中国人旅行者が日本を訪れていることから、同社製品に対する中国人の需要は依然として強いと述べた。
また、LVMHの会長兼CEOであるベルナール・アルノー(Bernard Arnault)は、「今年上半期の結果は、LVMHの卓越したレジリエンスを反映しており、経済的および地政学的な不確実性の中で、我々のメゾンの強さとチームの対応力によって支えられています。現在の状況に慎重でありながらも、グループは後半に自信を持って臨み、2024年に高級品市場での世界的なリーダーシップポジションをさらに強化するためにチームの機動力と才能を頼りにしています」と、声明でコメントした。
なお、ラグジュアリー業界が全体的に低迷している中で、エルメス(Hermès)やブルネロ クチネリ(Brunello Cucinelli)は、好調な業績を記録している。だが一方で、売上高が大幅に減少しているグッチ(Gucci)やバーバリー(Burberry)は、依然として回復の道筋を模索しており、これまで以上に厳しい現状に直面している。