9月16日(現地時間)、中国・上海にて8月29日から3日間にわたり開催された「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス(Intertextile Shanghai Apparel Fabrics)」は、その30周年記念エディションを迎え、歴史的な節目となったことを伝えた。
アパレル業界における世界最大規模のソーシングプラットフォームとして知られる同展示会には、26カ国から約4,000社の出展者が参加し、業界の未来を牽引する革新的な製品やソリューションが披露された。また、来場者数は115カ国から10万人を超え、国際的なバイヤーは昨年比で29%増加となった。
今回のエディションでは、特にサステナビリティ、機能性、デジタル化の3つのテーマに焦点が当てられ、リサイクル素材やオーガニックアクセサリー、デジタルデザインソリューションといった革新技術が次々と紹介された。また、業界全体での持続可能な慣行と技術的進歩に対する高まる関心を反映し、新たに「エコノジーハブ」と「デジタルソリューションゾーン」が開設された。
エコノジーハブは、従来の「All About Sustainability」ゾーンがリブランドされたもので、このゾーンには36社の出展者が参加し、3つのディスプレイゾーンやエコブティックが設けられた。さらに、来場者はEconogy Finderというツールを使用し、サステナビリティに特化した出展者を簡単に見つけることが出来る仕組みが整えられた。その他、14のセッションが行われたEconogy Talksや、サステナビリティ認証を受けた出展者によるガイド付きのEconogy Toursも開催され、持続可能な未来に向けた深い知見が提供された。
一方、「デジタルソリューションゾーン」では、業界をリードするニット機械、デザインシステム、AIソリューションなど、最先端のデジタル技術が紹介された。このゾーンは、デジタル化を進めたい企業にとって理想的なプラットフォームとなり、バイヤーが革新的な技術やソリューションを発見するための重要な役割を果たした。また、デジタルソリューション探索スペースが設置され、業界関係者同士のネットワーキングや新しいビジネスチャンスの創出にも貢献した。
メッセフランクフルト(香港)有限公司のゼネラルマネージャーであるウィルメット・シェア(Wilmet Shea)は、「インターテキスタイルは、世界最大のアパレルテキスタイルのソーシングハブであると同時に、それ以上の存在です。世界中の業界関係者が、この常に進化し続けるテキスタイル市場でインスピレーションとイノベーションを求めてここに集まります。」と展示会について述べ、
「この30年間、この展示会は時代の変化に応じて成長し、常に関連性を保ってきました。その象徴が、今回新たに導入した『エコノジーハブ』と『デジタルソリューションゾーン』であり、テストの適合性からジェネレーティブAIがテキスタイルデザインに果たす役割に至るまで、幅広いテーマを扱う拡大されたフリンジプログラムです。こうした洞察は、持続可能かつ技術駆動型の未来に向けて成功を目指す企業にとって、非常に重要な要素です」と説明した。
出展者たちも、エコノジーハブがエコフレンドリーな実践を推進する重要な役割を果たしていることを高く評価し、協力と新しいビジネスチャンスを生み出す場として、この展示会の重要性を強調した。
240,000平方メートルに及ぶ展示スペースでは、マレーシアとウズベキスタンのパビリオンのデビュー。アジアとヨーロッパからの7つの再来パビリオンの中では、日本パビリオンが21回目、ミラノウニカが20回目の出展となり、韓国と台湾のパビリオンは25年以上の参加を誇っている。
日本パビリオンの主催者である日本ファッション・ウィーク推進機構 テキスタイル部門の企画ディレクター、田津上睦子は「日本には上から下まで非常に幅広い種類の生地があります。日本企業にとって、インターテキスタイルアパレルで展示することはアジア市場を開拓するために重要であり、彼らは日本パビリオンにまとめられることで、より効率的だと感じています」と述べ、「私たちの日本トレンドコーナーは、すべてのブースへのゲートウェイとして機能し、バイヤーを引き付ける助けとなっています。シーズントレンドがあるため、春夏と秋冬にここに参加することが非常に重要です。これまでの数年で、バイヤーのレベルや展示会の全体的な水準、そして生地の品質が大幅に向上しました」と続けた。
来場者側では、インド、マレーシア、ミャンマー、シンガポール、タイ、ベトナムからの団体が展示会に参加。バイヤーには、世界的な衣料品メーカー、卸売業者、ブランド、百貨店などが含まれており、この秋も国際的な来場者数が増加し、強力な来場者の流れに寄与している。
シンガポールファッション評議会の代表団の一員として展示会を訪れた、ラブ ボニート シンガポール(Love, Bonito Singapore)のリードファッションデザイナーであるモニカ・ジャヌアビタ・コペン(Monika Januavita Kopeng)は、インターテキスタイルアパレルで、サプライヤーはそれぞれの専門知識や生地の特性を持ち寄り、さまざまな工場からのチャンスに触れることが出来る場」と述べ、「私たちは調達を目的としてここに来ましたが、これまでに見たことのない新しい先進技術や生地を発見しました。非常に貴重な機会でしたので、来年の春夏展にも参加したいと考えています」と語った。
さらに、50以上のフリンジイベントが行われ、そのうち25がサステナビリティに焦点を当てたエコノジートークのもとで開催。これらのセッションでは、アセアン地域での繊維投資機会に関するAFTEXによるパネルディスカッション、Avery Dennison、島精機、Symmpixなどによるデジタルイノベーションに関するセミナー、PantoneやWGSNによる今後のファッションシーズンに関連するテーマやトレンドの議論など、トレンドや技術、市場の発展に関する深い洞察が参加者に提供され、出展者とバイヤーの両方にとって貴重な体験を齎した。
「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス」の次回のエディションは、2025年3月11日から13日にかけて開催予定だ。ここからさらなる革新、サステナビリティ、国際協力の拡大が期待される。