エディ・スリマン(Hedi Slimane)がLVMHのセリーヌを退任を発表

Hedi Slimane

10月2日(現地時間)、LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH Moët Hennessy Louis Vuitton)が発表した声明により、エディ・スリマン(Hedi Slimane)がセリーヌ(Celine)のクリエイティブおよびイメージディレクターを退任することが正式に明らかになった。このニュースはファッション業界全体に大きな波紋を広げており、彼の次のステップに関する憶測が飛び交っている。

2018年にセリーヌの指揮を執って以来、スリマンはその圧倒的なクリエイティブセンスでブランドを劇的に変貌させた。中でも、セリーヌ初のメンズウェアの導入はブランドに新たな顧客層をもたらし、ブランドの多様性を広げた重要な一歩だった。また、香水やビューティーカテゴリーへの進出も手掛け、セリーヌの存在感をさらに拡大させた。

スリマンのセリーヌでの功績は、ブランドを単なるラグジュアリーの枠を超えた存在へと押し上げた点にある。LVMHは声明で「セリーヌは彼の厳格なビジョンによって、パリジャンの女性らしさとエレガンスを再定義し、驚異的な成長を遂げました」と賞賛し、「エディ・スリマンのホリスティックなビジョン、彼の厳格さと規律が、セリーヌのコードを再定義しつつ、ブランドの女性らしさとパリジャンのルーツを再確認することを可能にしました」と述べた。同グループはブランド別の業績を報告していないが、スリマンの在任期間中にセリーヌの売上は倍増し、年間売上は25億ユーロに達するとも推定されている。

しかし、スリマンの退任に関しては、最近の契約交渉が難航していたとの噂があり、特にLVMH会長のベルナール・アルノー(Bernard Arnault)との意見の相違が原因とされている。市場が急速に減速している中で、スリマンのビジョンが依然として必要とされるかどうかが問われていたのかもしれない。

次にスリマンが向かう先については、シャネル(Chanel)が有力視されているが、他のブランドへの転身も視野に入れているという見方が強い。

一方で、セリーヌは今後、彼の後任として誰を迎えるのかが注目されている。現在、アライアのクリエイティブディレクターを務めているピーター・ミュリエ(Pieter Mulier)や、以前ラルフローレンのウィメンズウェアを監督していたマイケル・ライダー(Michael Rider)が候補として挙がっている。どちらが選ばれるにしても、スリマンが築いた勢いをどのように維持し、ブランドを次のステージへ導くかが課題となるだろう。