タペストリー(Tapestry)社、85億ドルのカプリ買収計画に暗雲ー 米裁判所が警鐘を鳴らす

Tapestry

アメリカのラグジュアリーブランド業界に激震が走った。10月24日(現地時間)、ニューヨーク南部地区地方裁判所がタペストリー(Tapestry, Inc.)社によるカプリ・ホールディングス(Capri Holdings Limited)の巨額買収を阻止する判決を下したのだ。

タペストリーが計画していたこの85億ドルの買収は、コーチ(Coach)やケイト スペード ニューヨーク(Kate Spade New York)、ヴェルサーチ(Versace)、ジミー チュウ(Jimmy Choo)、マイケル コース(Michael Kors)といったブランドを一つの帝国にまとめ上げ、ヨーロッパのライバルに対抗する壮大な構想の中心にあった。

しかし連邦取引委員会(FTC)は、タペストリー社とカプリ・ホールディングスが米国市場で直接競争していることから、「今回の買収が市場競争を制限し、価格上昇のリスクをもたらす」と主張。9月に行われた8日間の公判では、FTCが一貫してこのリスクについて警鐘を鳴らし、裁判所もそれに同意した形となった。

タペストリー社は即座に声明を発表し、「FTC(連邦取引委員会)の仮差し止め命令が認められたことは極めて遺憾であり、法的にも事実的にも誤った判断だ」と強調した。また同社は、ファッション業界がダイナミックで多様な競争にさらされていることを指摘し、この買収は消費者にとっても有益だと主張している。合併契約に基づき、タペストリー社はこの決定に対して速やかに控訴する方針である。

この判決は市場にも大きな影響を与えた。タペストリーの株価は約13%上昇する一方、カプリ・ホールディングスの株価は46%下落。今後カプリ・ホールディングスが別の買収先を探し出す可能性も浮上しており、同社の行方には不確実性が漂っている。