12月16日(現地時間)、ニューヨーク拠点のブランド管理企業、WHPグローバル(WHP Global)は、ファッションデザイナーのヴェラ・ウォン(Vera Wang)が手がけるブランド「ヴェラ ウォン(VERA WANG)」の知的財産(IP)を取得する契約を発表した。
この契約により、ウォンは引き続き創設者兼チーフクリエイティブオフィサー(CCO)としてブランドのデザインと方向性を統括し、WHPグローバルの株主にも加わることが決まった。ウォンはクリエイティブ面での指揮を執りながら、ブランドのさらなる成長を加速させる役割を担っていく。
声明の中でウォンは、「30年以上続けてきたブランドにおいて、WHPグローバルとの新たなパートナーシップを発表できることを大変光栄に思います」と述べ、彼らの革新的なアプローチは、ヴェラ ウォンが築いてきたスタイルと洗練さを守りつつ、さらなる市場や新たなカテゴリーへの挑戦を可能にするでしょう」とコメント。
ヴェラ ウォンは、1990年にニューヨークのカーライルホテルに最初のブライダルサロンをオープンしたことから始まった。ウォン自身はアメリカ版ヴォーグ(VOGUE)の編集者を経て、ラルフ ローレン(Ralph Lauren)でデザインディレクターを務めた後、自身の名を冠したブランドを立ち上げている。
その後、ブランドはブライダルを軸に、ウィメンズウェア、メンズフォーマルウェア、ジュエリー、フレグランス、ホームデコールと展開し、年間7億ドルの売上を誇るグローバルブランドに成長。これまでにビヨンセ(Beyoncé)、ゼンデイヤ(Zendaya)、アリアナ・グランデ(Ariana Grande)など数々のセレブリティに選ばれ、そのスタイルと革新性によって、ラグジュアリー業界における確固たる地位を築いてきた。
WHPグローバルは、すでに「ラグ&ボーン(rag & bone)」「ジョーズ ジーンズ(Joe’s Jeans)」「ジースター(G-Star)」といったブランドを展開しており、ファッション、スポーツ、ハードグッズの分野で年間70億ドル以上の売上を世界規模で達成している。同社にとって今回のヴェラ ウォンの買収は、プレミアムファッション分野の強化に向けた戦略的な一手なのだ。
WHPグローバルのCEOであるイェフダ・シュミッドマン(Yehuda Shmidman)は、「ヴェラ・ウォン氏は、現代的なデザインと卓越したスタイルの象徴です。彼女と共にこのブランドのレガシーをさらに拡張し、世界中で新たなビジネスチャンスを生み出すことを目指します」と述べている。
なお、この取引は2025年1月に完了する見込みである。ヴェラ・ウォンが描くクリエイティブなビジョンと、WHPグローバルの戦略的な事業展開が融合することで、ブランドはさらに市場の拡大と新分野への挑戦を加速させることが期待される。