12月23日(現地時間)、ロレアル グループ(L’Oréal Group)は、韓国のスキンケアブランド「ドクタージー(Dr.G)」をスイスの小売グループ、ミグロの子会社であるゴウンセサン コスメティックス(Gowoonsesang Cosmetics Co., Ltd.)から買収する契約を締結した。2003年に皮膚科医のアン・ゴンヨン(Gun Young Ahn)博士によって創設されたドクタージーは、韓国ソウルに本社を置き、科学的なアプローチに基づくスキンケア製品で知られるブランドだ。
この買収は、ロレアルが2018年に韓国ブランド「3CEメイクアップシリーズ」を含む「スタイルナンダ」を買収して以来、2例目の韓国ブランド取得となる。ドクタージーはロレアルのコンシューマープロダクツ事業部(CPD)に統合され、Kビューティー市場における存在感をさらに高めることが期待される。
韓国内外での実績と成長可能性
ドクタージーは、韓国国内でトップクラスのスキンケアブランドとして認知されており、特に「R.E.D ブレミッシュ クリア スージングクリーム」をはじめとする成分に特化した製品ラインが人気を集めている。Kantar Koreaが2024年10月に行なった調査によると、同ブランドはオンラインおよびオフラインの主要小売チャネルを通じて販売され、韓国の大衆市場および皮膚科関連スキンケアブランドの中でトップ3にランクインしている。また、韓国を起点にアジア全域へ展開しており、グローバル市場でのさらなる成長可能性が期待されている。
ロレアルのコンシューマープロダクツ事業部グローバルプレジデントであるアレクシス・ペラキス=ヴァラ(Alexis Perakis-Valat)は、「皮膚科医によって創設され、敏感肌を含むあらゆる肌タイプに対応する高性能ソリューションを提供するドクタージーは、当社のスキンケアポートフォリオを完璧に補完する存在です」と述べ、「長年にわたりこのブランドとその成功を注視してきましたが、今後は韓国国内および世界での成長を加速させ、最高の韓国スキンケアを消費者に届けるという当社のミッションを実現していきます」と続けた。
また、ロレアル・コリアのプレジデント、サミュエル・デュ・リテール(Samuel du Retail)は、「ドクタージーブランドとゴウンセサンの優秀なチームを迎え入れることで、ロレアルは韓国ビューティーエコシステムとの関わりをさらに強化し、Kビューティーのグローバルな展開を進めていきます」と述べた。
一方、ドクタージーの創設者であるアン・ゴンヨン(Gun Young Ahn)は、「私たちのミッションは、先進的な研究を通じて健康で輝く肌を提供することでした。ロレアルの一員となることで、このミッションをグローバルに実現するための大きな転換点になると信じています」とコメントしている。
韓国ブランド買収の背景
韓国発の美容トレンドは、北米や欧州でも「 Kビューティー」として親しまれ、BBクリームやクッションファンデーションなどの革新技術を通じて、長年にわたりグローバル市場で注目を集めてきた。近年では、ニューヨークやパリに「Kビューティー専門店」が続々とオープンし、TikTokなどのプラットフォームを通じた口コミ効果で一部の製品がバイラルヒットしている。こうした背景から、ロレアルはドクタージーの買収を通じて、韓国の美容エコシステムとの関わりを強化するとともに、Kビューティーのグローバル展開を一層加速させる意向なのだ。
なお、同取引は、規制当局の承認およびその他の条件を経て、数カ月以内に完了する予定である。