ディオール(Dior)、世界遺産の京都・東寺で2025年プレフォールコレクション発表へ

Dior

仏ラグジュアリーブランド、ディオール(Dior)が、2025年のプレフォールコレクションを京都で発表することを正式に発表した。ショーの舞台となるのは、世界遺産にも登録されている歴史的な寺院、東寺とその庭園だ。クリエイティブディレクター、マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)のビジョンが、4月15日にその壮大な庭園を背景に展開される。

東寺の選定に込められたメッセージ

東寺は、796年に創建された歴史ある寺院で、京都の象徴的存在として知られている。五重塔や広大な庭園を有し、訪れる者に静寂と美しさを提供する場所である。

ディオールはこれまでもソウル、ムンバイ、ニューヨークといった都市でショーを開催してきたが、アジア太平洋地域への注力を強める中、京都はその戦略において詩的かつ象徴的な意味を持つ。

キウリは声明の中で、「世代を超えて熟練した職人たちによって磨かれた独自のクラフトマンシップの発祥地であるこの街は、これらの創造的な交流を再燃させ、私の2025年秋コレクションを発表するためのユニークな文脈を提供してくれます」と語った。

クリスチャン・ディオールと日本の深い関わり

ディオールと日本の関係は、あまり知られていないが非常に深い。1950年代、創業者のクリスチャン・ディオール(Christian Dior)は京都の絹工房と協力し、日本の伝統的な織物を使ったオートクチュール作品を生み出した。戦後、西洋ファッションの新たな感性を象徴する「ニュールック」で知られるディオールだが、そのデザインの背後には、日本の美しい職人技と伝統的な織物が与えた大きな影響がある。

キウリが手掛けるプレフォール2025コレクションは、この伝統へのオマージュであり、同時に現代的な解釈が加えられると期待される。絹の滑らかさが語る古都京都の物語と、洗練されたシルエットが生む新しいモダニティの共演が見どころである。

桜が散った後の京都の春。亀や鯉が泳ぐ庭園が、世界中のファッション関係者を迎える舞台となる日が待ち遠しい。