パリを拠点とするクチュールメゾン「ジャンバティスタ ヴァリ(Giambattista Valli)」は、2026年春オートクチュール・コレクションとして予定していたパリでのショーを、開催直前で中止した。ショーはパリ オートクチュール ウィーク初日の1月26日に予定されていたが、親会社による事業見直しを理由に実施されないことが明らかになっている。
今回のショー中止は、最終準備やモデルのフィッティングが進行していた段階での決定とされ、関係者の間では異例の対応として受け止められている。
売却検討と資本構造の背景
米WWDの報道によると、親会社の「アルテミス(Artémis)」はここ数カ月にわたり、ジャンバティスタ ヴァリの売却について水面下で検討を進めてきたという。プロセスには金融機関のロスチャイルド(Rothschild & Co)が関与しているとされる。
アルテミスはフランソワ・ピノー(François Pinault)家のプライベート投資会社であり、ピノーは、Kering(ケリング)のオーナーとしても知られる。ケリングはグッチ(Gucci)、サンローラン(Saint Laurent)、ボッテガ・ヴェネタ(Bottega Veneta)、バレンシアガ(Balenciaga)などを傘下に持つが、近年は世界的なラグジュアリー消費の減速を背景に、業績面で厳しい局面に直面している。

今後の行方
ローマ出身のジャンバティスタ・ヴァリは、エマニュエル・ウンガロ(Emanuel Ungaro)のもとで経験を積んだ後、2005年に自身のブランドをパリで設立。2011年にはオートクチュールに参入し、チュールやシフォンを多用した華やかなイブニングドレスや、パリ的感性を宿したフェミニンなデイウェアで高い評価を築いてきた。
近年は、年次で展開されるブライダル向けカプセル「Love Collection」も、ブランドを象徴する取り組みのひとつとなっている。
今回のクチュールショー中止は、単なるスケジュール変更にとどまらず、ブランドの経営体制や今後の存続のあり方を改めて問い直す出来事である。新たな投資家の動向や、アルテミスによる戦略判断次第で、ジャンバティスタ・ヴァリの今後の展開は大きく左右される見通しだ。
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