1月27日(現地時間)、ファッションデザイナーのステラ・マッカートニー(Stella McCartney)は、自身が創設したブランドのLVMHモエ ヘネシー ルイ ヴィトン(LVMH Moët Hennessy Louis Vuitton)保有の少数株を買い戻すことを発表した。
今回の発表は、2025年春夏 パリ オートクチュールウィークの初日、両社による共同声明として行われた。声明では、「この新たな章は、ステラ マッカートニーが独立して新たなページを書きたいという願いを反映しています。これまでグループと緊密に協力しながら、自身のブランドの基盤とガバナンスを強化してきました」と述べられている。
ステラ マッカートニーとLVMHは2019年に提携を開始したが、この期間中にブランドはガバナンスを強化し、経営基盤を整えることで成長の土台を築いてきた。
LVMHとの提携で得た成果
LVMHとの5年以上にわたる提携の中で、ブランドとしてステラ マッカートニー(Stella McCartney)は、特に持続可能性の分野で多くの成果を挙げた。新たにCEOとしてアマンディーヌ・オハヨン(Amandine Ohayon)を迎え、ブランドの経営体制を刷新したほか、小売ネットワークの合理化によって運営の効率化を実現。また、サプライチェーンや素材の研究を強化し、環境負荷を軽減する革新的なプロジェクトを立ち上げた。
中でも注目されたのが、ヴーヴ. クリコ(Veuve Clicquot)との協業だ。シャンパーニュ製造時に廃棄されるブドウの茎をリサイクルし、高級アクセサリーやバッグの素材として再利用するというプロジェクトを実施。これらの製品は2024年春夏コレクションのランウェイで披露され、業界内外から高い評価を受けた。
さらに、ステラ マッカートニーはLVMHの他ブランドとも連携し、持続可能な素材の採用を推進。その一例として、菌糸体(キノコの根状構造)を使用した「Frayme Myloバッグ」を開発。ボルド スレッズ(Bolt Threads)社の「マイロ(Mylo)」を使用し、作られたこの革新的なバッグは、環境に配慮したファッションの象徴として注目を集めた。

パンデミックの試練と回復
一方で、パンデミックの影響を受けた2020年には、ブランドは厳しい経営状況に直面。スタッフの削減や給与の引き下げなどのコスト削減策を実施し、ステラ・マッカートニー自身もその年の給与を受け取らない選択をした。
しかし、その後の業績は徐々に回復。2022年には売上が前年比23%増の4000万ポンドに達し、損失額も前年の3000万ポンドから870万ポンドに大幅縮小するなど改善が見られた。
持続可能性アンバサダーとしての役割を継続
今回の買い戻し後も、ステラ・マッカートニーはLVMHの持続可能性グローバルアンバサダーとしての役割を担い続ける。CEOのベルナール・アルノー(Bernard Arnault)や経営陣に助言を行い、業界全体での持続可能性の推進に貢献する予定である。この役割は、単なるアドバイザーに留まらず、LVMHグループ全体の戦略における重要な柱となる可能性が高い。
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