グレン・マーティンスがメゾン マルジェラ(Maison Margiela)の新クリエイティブディレクターに就任

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1月29日(現地時間)、メゾン マルジェラ(Maison Margiela)が、新たなクリエイティブディレクターとしてグレン・マーティンス(Glenn Martens)の就任を発表した。これにより、同ブランドは創業者であるマルタン・マルジェラ(Martin Margiela)、そして10年間にわたりメゾンを率いたジョン・ガリアーノ(John Galliano)に続く新たな時代を迎える。

OTBグループ会長のレンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)は、この発表に際し、「私は長年グレンと仕事をしてきました。彼の才能を間近で見てきたし、その実力を確信しています。メゾンを築き、そのユニークなアーティザナルラインを生み出したマルタン(マルジェラ)、そしてそれを世界で最も革新的なクチュールメゾンへと進化させたジョン(ガリアーノ)。彼らに続く3人目のクチュリエを迎えることを誇りに思っています。グレンはマルタンと同じくアントワープ王立芸術アカデミーで学び、すでにクチュールの分野で卓越した手腕とビジョンを示しています」とコメントしている。

マーティンスもまた、「長年世界にインスピレーションを与え続けてきたメゾン マルジェラという素晴らしいブランドに参加できることを、大変光栄に思います。そして、この機会を与えてくれたレンツォに感謝します」と語った。

Yプロジェクトからディーゼル(Diesel)、そしてマルジェラへ

1983年生まれ、ベルギーのブルージュ出身のグレン・マーティンスは、2024年9月にYプロジェクト(Y/Project)を退任し、ブランドの閉鎖が決定したことを受け、メゾン マルジェラの次期クリエイティブディレクターの最有力候補として名前が挙がっていた。

マーティンスはアントワープ王立芸術アカデミーを卒業後、ジャン・ポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)のもとでキャリアをスタート。その後、Yプロジェクトに参加し、2013年にクリエイティブディレクターに就任した。ブランドのDNAを受け継ぎつつも、彼独自の視点を取り入れた実験的なカットや再構築的なデザインは、Yプロジェクトの評価を高めてきた。

また、2020年にはディーゼルのクリエイティブディレクターに就任し、現在まで商業的成功を収める。ディーゼルでは、アイコニックな1DRバッグを生み出し、ウィメンズウェアを拡充。特にZ世代の顧客層を拡大し、ブランドの売上を押し上げた。

さらに2022年には、マーティンスがジャン ポール ゴルチエのゲストデザイナーとしてクチュールコレクションも手掛け、クチュールの分野でもその才能を証明した。

こうしたディーゼルでの成功や、Yプロジェクトでの実験的なデザイン、ジャン ポール ゴルチエでのクチュール経験などが、今回のマルジェラ就任の決め手となったと言える。

ロッソは、「グレンは単なるデザイナーではなく、クチュリエだ。ジョン・ガリアーノと同じように、クチュリエは独自のデザイン手法を持っている。すべてのピースにはストーリーがある」と述べ、マルジェラの新たな時代を託すにふさわしい人物であることを示唆した。

今後の展開

メゾン マルジェラは、近年の収益成長とともに、世界的な展開を加速させている。現在、約120の直営店舗を展開し、そのうち50店舗は過去4年間で新規オープン。ブランドの収益は約5億ドル達し、フレグランスやアイウェアなどのライセンス製品も年間2億ドル以上の売上を記録している。このような成長の中で、マーティンスはブランドの新たな方向性を示していくことになる。

なお、マーティンスは、メゾン マルジェラのクリエイティブディレクターに就任する一方で、同じくOTBグループの傘下にあるディーゼルのクリエイティブディレクターとしての職務も継続する予定だ。同グループは、ディーゼル、ジル サンダー(Jil Sander)、メゾン マルジェラ、マルニ(Marni)、ヴィクター&ロルフ(Viktor & Rolf)を傘下に持つ。

メゾン マルジェラのDNAである再構築の美学を引き継ぎながら、ディーゼルで培った商業的成功のノウハウをどのように活かすのかに、今後の展開に注目が集まる。

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