プーチ（Puig）、第4四半期の売上高が14.3%増─フレグランスが圧倒的な成長を牽引し、過去最高を記録

1月30日（現地時間）、スペインのラグジュアリーフレグランス・ファッション企業プーチ（Puig）は、2024年第4四半期の売上が前年同期比14.3%増の13億6200万ユーロに達し、通期売上は47億9000万ユーロ（前年比11.3%増）と過去最高を記録したことを発表した。特に、主力のフレグランス＆ファッション事業が21.0%の急成長を遂げ、同社の売上全体の73%を占めるまでに拡大。フレグランス市場での圧倒的なプレゼンスを確立した。

2024年はPuigにとって歴史的な一年となった。創業110周年を迎えたことに加え、株式公開を果たし、さらなる成長へ向けた戦略を加速。加えて、スキンケアとメイクアップ分野の強化にも注力し、ドクター バーバラ シュトゥルム（Dr. Barbara Sturm）の買収や、シャーロット ティルブリー（Charlotte Tilbury）とのパートナーシップ延長（2031年まで）といった重要なマイルストーンを達成した。

マルク・プーチ（Marc Puig）会長兼CEOは、声明の中で、「フレグランス事業の圧倒的な成功と、EMEAおよびアメリカ市場での力強いパフォーマンスが記録的な売上を実現しました」と述べている。

フレグランス市場での圧倒的なプレゼンス

プーチの中核を担うフレグランス＆ファッション事業は、前年比13.6%増の35億3800万ユーロを売り上げた。中でも、ジャン ポール ゴルチエ（Jean Paul Gaultier）の「Le Male」が世界の男性フレグランス市場で3位にランクインし、ブランド史上初のトップ10入りを果たす。さらに、キャロライナ ヘレラ（Carolina Herrera）の「Good Girl」が米国の女性フレグランス市場で1位を獲得するなど、人気ブランドの好調が売上成長の原動力となった。

また、ニッチフレグランスブランドも堅調だった。ペンハリガン（Penhaligon’s）、ラルチザン パフューム（L’Artisan Parfumeur）、ドリス ヴァン ノッテン（Dries Van Noten）など、すべてが二桁成長を達成している。さらに、バイレード（Byredo）も高い成長率を示し、ブランドポートフォリオ全体を押し上げる結果となった。

メイクアップ事業の苦戦と今後の戦略

一方で、メイクアップ事業は苦戦。2024年第4四半期の売上は前年同期比7.2%減、通期では1.3%減と唯一マイナス成長を記録した。主な要因は、シャーロット ティルブリーの「Airbrush Flawless Setting Spray」の自主回収にある。同製品は、すでに製品の販売が再開されているが、2024年12月に一部ロットの販売を停止したことで、売上にマイナスの影響が出たようだ。

しかし、プーチはシャーロット ティルブリーの成長性に強気の姿勢を崩していない。シャーロット ティルブリーは2024年も英国市場で1位を維持し、米国市場では前年比2ランク上昇して3位に浮上している。さらに、「Unreal Skin Foundation Stick」の発売が成功し、ブランドのイノベーション力を証明した。こうした動向から、今後プーチは、メイクアップ市場の回復を目指し、新カテゴリーの展開やマーケット戦略の強化に注力する方針のようだ。

スキンケア市場の成長と高級化戦略

また、スキンケア事業の成長も好調で、2024年の売上は前年比19.8%増の5億1620万ユーロを達成した。特に、ユリヤージュ（Uriage）が二桁成長を遂げ、「Age Absolu Serum」や「Xemose」などの主力商品の販売が業績を後押しした。

さらに、2024年1月に買収したドクター バーバラ シュトゥルム（Dr. Barbara Sturm）の統合も進み、超高級スキンケア市場でのポジションを強化。フレグランスだけでなく、スキンケア分野でもプレミアム市場における競争力を高めた。

グローバル市場での展開と今後の成長戦略

現在、プーチの最大市場がEMEA（欧州・中東・アフリカ）がであり、2024年の売上は26億2000万ユーロ（前年比12.8%増）となった。アメリカ市場は17億1460万ユーロ（前年比11.1%増）と、安定した成長に。一方、アジア太平洋市場（APAC）は4億5510万ユーロ（前年比3.7%増）と、比較的緩やかな伸びに留まった。

2020年以降、フレグランス市場は爆発的な成長を遂げてきたが、その勢いはやや鈍化の兆しを見せている。これに対しプーチは、「パンデミック後の急成長が一巡し、市場の成長率は緩やかになりつつあります」と説明している。だが、プレミアム市場における強固なブランド力と、積極的なM&A戦略によって競争優位性を維持できるという確信を示した。

2025年以降、プーチはフレグランス市場の成長鈍化に対応しながら、スキンケアとメイクアップの強化、さらなるブランド買収によるポートフォリオ拡充を進める見込みだ。なお、同社の2024年通期の決算報告と今後の中期戦略の発表は、2月27日に予定されている。

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