1月28日(現地時間)、米国発M2Cブランドのクインス(Quince)は、シリーズCの資金調達で1億2000万ドルを獲得したことを発表した。
今回のラウンドは、ノータブル・キャピタル(Notable Capital)とウェリントン・マネジメント(Wellington Management)が共同リードし、DSTグローバル(DST Global)、ベイシス・セット・ベンチャーズ(Basis Set Ventures)、8VCが参加。これにより、クインスはさらなる成長とミッションの拡大に向けた足場を固めていく。
既存の流通構造を打ち破る—クインスのM2Cモデルとは?
クインスは、「高品質なものが高価である必要はない」という理念を掲げ、ラグジュアリーブランドと同等またはそれ以上の品質を、誰もが手の届く価格で提供することを目指しているプラットフォームだ。
そのため、クインスは工場から直接消費者に届ける「マニュファクチャラー・トゥ・コンシューマー(Manufacturer-to-Consumer 以下、M2C)」モデルを採用。M2Cとは、製造業者が直接消費者に製品を販売するビジネスモデルであり、オンラインを通じて消費者に直接販売する。一般的なブランドでは、工場→仲介業者→関税→倉庫→ブランド→店舗→消費者と、多くの中間プロセスを経るため、価格が高騰するが、M2Cモデルでは、仲介コストが排除され、高品質な製品をより低価格で提供することが可能になる。

D2CとM2Cの違い
では、これまで一般的だったD2C(Direct-to-Consumer)と、新たに注目されるM2Cは、どのようにビジネスモデルが異なるのか。どちらも中間業者を排除し、消費者に直接販売する点では共通しているが、それぞれの特性には明確な違いがある。
D2Cは、ブランドが自社製品を直接消費者に販売するモデルを指す。通常、ブランドは製造業者と契約し、自社の製品ラインを確立した後、オンラインストアや自社の直営店を通じて直接販売する。このモデルでは、ブランド自体がマーケティング、流通、販売をコントロールするため、ブランド独自の体験や付加価値を提供しやすい。
一方で、M2Cは、製造業者が直接消費者に製品を販売する為、D2Cと異なり、ブランドを介さず、メーカー自身が販売を担う点が特徴的である。M2Cでは、メーカーが直接オンラインストアなどを活用し、自社製品を販売するため、流通コストをさらに削減し、より低価格で提供できるメリットがある。
例えば、クインスのある製品のコスト内訳は以下の通りだ。
- 素材費:$26.63
- 製造費:$6.04
- パッケージング:$0.65
- 輸送・配送:$8.93
- クレジットカード手数料:$1.39
- 合計原価:$43.64
この製品はクインスで$50で販売されるのに対し、従来のブランドであれば$128が相場となる。こうして比較してみると、その価格差は歴然であることがわかるだろう。

透明性とサステナビリティ—”誠実なものづくり”へのこだわり
このような価格の透明性だけでなく、クインスは、持続可能な生産や労働環境の改善にも注力している。その一環として、適正な労働環境と公正な賃金を保証する工場とのみ提携し、エシカルな生産体制を築いている。また、原材料の調達から製造方法、コスト構造までのすべてを公開し、透明性のある価格設定を徹底。さらに、環境負荷の軽減を図りながら、消費者に最良の価値を届けることを目指し、サステナブルな経営を推進している。
誠実なものづくりを貫きながら、誰もが手に取れるラグジュアリーを実現する。それがクインスの目指す未来である。

クインスが切り開く新時代のラグジュアリー
今回、シリーズCラウンドで得た1億2000万ドルの資金を活用し、クインスはブランドのさらなる拡大と新市場の開拓を加速させる。
「いいものは高い」という固定観念を覆し、消費者に真の価値を届けるという使命。そして、「ラグジュアリーは一部の限られた人々のためのものではない」という信念のもと、クインスは新時代のラグジュアリーを再定義し、本当に価値のあるモノづくりを牽引していく存在へとなるかもしれない。
「高品質×適正価格」という独自のバランスを実現する同社の革新的なビジョンは、今後ますます多くの人々の支持を集めるだろう。
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