グッチ(Gucci)のアーティスティック・ディレクターに、バレンシアガのデムナが就任

Demna

3月13日(現地時間)、ケリング(Kering)は、グッチ(Gucci)の新アーティスティック・ディレクターにデムナ(Demna)を任命したことを発表した。正式な就任は、2025年7月からとなる。

方向性を模索していたグッチが描くビジョン

グッチは、ブランドイメージの再構築を進める中で、デムナの起用によって、グッチのクリエイティブ・ビジョンをさらに鮮明にし、ブランドの持つ「伝統」と「革新」のバランスを再定義する試みだという。

デムナは2015年よりバレンシアガ(Balengiaga)のアーティスティック・ディレクターとしてモダン・ラグジュアリーを再定義し、ファッション業界に革新をもたらしてきた。彼の前衛的なアプローチは世界的に評価され、時代を象徴するクリエイターの一人としての地位を確立している。アイロニックでコンセプチュアルな表現や、ストリートとラグジュアリーの融合が特徴的なデムナのデザインは、グッチの伝統的なスタイルとどのように融合していくのだろうか。

ケリングの会長兼CEO、フランソワ=アンリ・ピノー(François-Henri Pinault)は、声明の中で「デムナの創造力こそが、今のグッチに必要なものです。彼がバレンシアガで成し遂げた功績に敬意を表しつつ、新たなステージでの活躍を期待しています」とコメント。

また、グッチのCEOであるステファノ・カンティーノ(Stefano Cantino)は、「デムナのアプローチを私は以前から、デムナの独自性と力強さを兼ね備えたクリエイティブなアプローチを称賛してきました。彼のブランドの象徴的な遺産を尊重しながら、モダンな感性を融合させる能力は卓越しています。強化されたグッチの基盤を活かし、デムナがメゾンを新たなファッション・オーソリティへと導くことを確信しています」と述べた。

デムナは、この就任に際して、「グッチ・ファミリーの一員となることに心から興奮しています。私はこのメゾンを深く尊敬し、長年にわたり称賛してきました。ステファノやチームと共に、グッチの素晴らしいストーリーの新たな章を紡いでいけることを楽しみにしています」と喜びを伝えた。

 

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なお、この発表は、サバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)の退任からわずか1カ月後に行われた。デ・サルノは2023年1月にアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)の後任として就任し、2023年9月のミラノファッションウィークでデビューコレクション「Gucci Ancora」を発表。ブランドのアイコニックなエレガンスを再解釈し、よりミニマルで洗練されたスタイルを提案した。

しかし、グッチの売上低迷が続く中で、ブランドの方向性の再調整が求められ、2025年秋冬コレクションを前に突然の退任が決定。先日行われたグッチの「2025年秋冬コレクション」は、新たなリーダーの就任が未定の中、グッチのインターナルチームがクリエイションを担った。

こうしたクリエイティブの方向性を模索していたグッチが、今後デムナと共にどのようなヴィジョンを描くのか、2025年のパリ ファッションウィーク 2026年春夏コレクションを皮切りに、世界中のファンがその答えを待ち望んでいる。

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