3月13日(現地時間)、米国の美容小売大手、ウルタ ビューティー(Ulta Beauty)は、2024年度の決算を発表し、売上成長が鈍化する中での経営改革を加速させる方針を明らかにした。2024年度の通期売上高は112億9,570万ドル(前年同期比+0.8%)とほぼ横ばいで、既存店売上高は0.7%増にとどまった。
組織の再編と新たな成長戦略
ウルタ ビューティーは、こうした事業の成長鈍化を受けて経営体制の強化を進めている。2024年1月にはケイシア・スティールマン(Kecia Steelman)が新CEOに就任し、同社のリーダーシップを刷新。2月にはケリー・マホーニー(Kelly Mahoney)がCMO(最高マーケティング責任者)に昇進するなど、経営陣の大幅な見直しが行われた。また、モニカ・アルナウド(Monica Arnaudo)がEコマース部門を統括する最高商品・デジタル責任者(CMDO)に就任し、デジタル戦略の強化が進められている。
また同社は、2025年度の新戦略「Ulta Beauty Unleashed」を発表し、「コア事業の強化」、「新規事業の拡大」「Eコマース強化(新マーケットプレイス導入)」「海外展開の推進(メキシコ市場参入・中東での拡大)」という4つの柱を掲げた。
特に、ウェルネス分野の強化が重点課題となっており、健康・美容トレンドを意識した新たな製品ラインナップを展開する予定だ。また、同社の広告プラットフォーム「Ulta Beauty Media」の強化も進め、ブランド向けの広告ソリューションを拡充することで、売上の多角化を図る。
2025年は「移行の年」に
2024年の美容業界全体は低迷し、エスティ ローダー(Estée Lauder Companies)の売上は2%減(156億ドル)、ロレアル(L’Oréal)の売上は2.5%増(111億ユーロ)と、業界内でも成長に差が出た。ウルタ ビューティーの売上総利益率は38.8%(前年39.1%)に低下し、コスト増加が利益を圧迫した。
また、化粧品カテゴリーの売上比率が36%(前年41%)と低下し、スキンケアやフレグランス部門の成長が相対的に目立った。同社は、商品構成の最適化と、消費者の需要に合わせた商品展開を進めることで、競争優位性を確保しようとしている。
しかし、ウルタ ビューティーは2025年度を「移行の年」と位置付け、売上を115億〜116億ドルの範囲で見込んでいる。スティールマンCEOは、次のように述べる。
「ウルタ ビューティーの未来に対して、私は非常に楽観的です。当社には成功を牽引する要素が揃っています。強固なビジネスモデル、野心的な長期計画、そして毎日ブランドを体現してくれる情熱的な従業員たちがいるからです。2025年は、当社の将来の成長を促進するための意図的な投資を行い、ビジネスの最適化を迅速に進める重要な年となるでしょう。」
新たな成長戦略の下で、同社がどのように競争環境を乗り越え、成長を取り戻すのか。経営陣の刷新と戦略の見直しを図るウルタ ビューティーにとって、2025年は大きな転換点となる。
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