3月27日(現地時間)、スウェーデンのファッション大手「エイチ アンド エム(H&M)」は、2025年度第1四半期(2024年12月1日〜2025年2月28日)の決算を発表し、売上が堅調に推移したものの、市場の期待には届かなかったことを明らかにした。長引く需要の低迷と競争環境の激化が影響を与えたと見られる。
グループ全体の売上高は、前年同期比3%増の553億3,300万スウェーデンクローナ(約55億ドル)。現地通貨ベースでは2%の増加となり、アナリスト予想の558億6,000万クローナをわずかに下回った。H&Mは第1四半期の時点で、前年度比約3%の店舗数減少を伴いながらも、オンライン販売が堅調に推移したことを報告している。
一方で、営業利益は前年の20億7,700万クローナから12億300万クローナへと大きく減少。営業利益率も3.9%から2.2%へと低下した。粗利益率は49.1%で、前年の51.5%から下がっており、「外部環境の悪化、値引き販売の増加、顧客向け商品・サービスへの投資」が主な要因とされている。また、スウェーデンクローナ高による為替換算差損も、利益を圧迫した。
CEOのダニエル・エルヴェール(Daniel Ervér)は地域別の動向について、「西欧、南欧、東欧では売上の伸びが見られ、特にドイツとポーランドで好調でした」とコメント。また、オンライン販売についても「アップグレードされたデジタルストアが好評を博しており、顧客に支持されていることを示しています」と述べた。
エルヴェールはさらに、「当四半期の売上と利益は計画よりもやや下回りましたが、第1四半期は年間を通して売上と利益率が最も低い四半期です。私たちは今後に自信を持っています」と語る。そして、「現在の最優先事項は、製品力の強化、よりインスピレーションのある購買体験、そしてブランド力の向上です。これらを通じて、長期的かつ持続可能で利益のある成長のための土台を築いていきます」と意欲を示した。
第1四半期終了後の最新動向としては、2025年3月の売上が現地通貨ベースで前年比1%の増加を見込んでいる。ただし、企業側は「外部要因や値引き、投資による悪影響は、第2四半期にはすでに大幅に軽減されている」としており、戦略的サプライヤーとの連携強化により、今後の改善に手応えを感じているようだ。
近年、ファストファッション業界の競争は、さらに激化を見せている。こうした中、競合他社にも変化の波が押し寄せている。先日は、フォーエバー21(Forever 21)を運営する米国法人が、チャプター11(米連邦破産法第11章)を申請したばかり。同社は米国内で200店舗超を閉鎖し、残る店舗の買い手を探すが、見つからなければ推定350店舗のチェーン全体を清算する可能性もあるようだ。H&Mも同様に、スペインのインディテックス(Inditex)が展開するザラ(Zara)や、中国発の低価格ファッションブランドシーイン(Shein)の台頭により苦戦を強いられている。
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