オランダ出身のファッションデザイナーデュオ、ヴィクター・ホルスティン(Viktor Horsting)とロルフ・スノーレン(Rolf Snoeren)によるブランド「ヴィクター&ロルフ(Viktor & Rolf)」が、米国で初となる大規模な展覧会を開催する。「ヴィクター&ロルフ ファッション ステートメンツ(Viktor & Rolf. Fashion Statements)」と題された同展覧会は、ジョージア州アトランタに位置するハイ美術館(High Museum of Art)で、2025年10月10日に開幕予定だ。
同展は、2023年にドイツ・ミュンヘンのクンストハレで好評を博した展覧会の巡回展であり、30年以上にわたる創作活動の中から選び抜かれた約100点が並ぶ。ファッションの枠にとどまらない彼らの芸術的アプローチが、9つのテーマに沿って立体的に表現される。
キュレーションを手がけるのは、ジャン=ポール ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)、ティエリー ミュグレー(Thierry Mugler)、ピーター リンドバーグ(Peter Lindbergh)など、数々の巨匠たちの展覧会も手掛けてきた名キュレーター、ティエリー=マキシム・ロリオ(Thierry-Maxime Loriot)。「Fashion Artists」「Russian Dolls」「The Dolls」「Zen Garden」「Performing Fashion」「Viktor & Rolf on Stage」「Upcycling Couture」など、見る者の感性を刺激する章立てに加え、詳細未公開の新作を含む第9章が、さらなる驚きをもたらすことだろう。

また、会場ではブランドの象徴的存在でもある“ワーク・イン・プログレス・ドール”が登場。アンティーク磁器人形のような繊細なボディに、手仕事で再現されたミニチュアのドレスをまとわせたその姿は、鑑賞者を制作の舞台裏へと誘う。さらに、映像制作スタジオ、ロデオFX(Rodeo FX)によるプロジェクション演出も加わり、幻想と現実が交錯する空間体験を実現する。
ホルスティンは「人々にインスピレーションを与え、考えさせ、ファッションに対する視野を広げてほしい」とコメント。ロリオも「ヴィクター&ロルフの作品はトレンドではなく、純粋な創造性の表現だ。だからこそ美術館で展示される意義がある」と語った。
さらに会場には、これまで未発表のルックも登場予定で、さらにシンディ・シャーマン(Cindy Sherman)やアンドレアス・グルスキー(Andreas Gursky)といった世界的アーティストたちの作品も共に展示される。
ファッションとアート、フィクションとリアリティ、そのすべての境界を軽やかに越える本展は、彼らの創造性と哲学の粋を体感する、またとない機会となるだろう。
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