4月30日(現地時間)、プラダ(Prada)とミュウミュウ(Miu Miu)を中核に据えるイタリアのプラダ グループ(Prada Group)は、2025年第1四半期(1月〜3月)において、純収益13億4,100万ユーロを記録し、前年同期比で13%の増収となったことを発表した。経済環境の不透明感が続く中でも、同グループは力強いクリエイティビティと組織力を武器に、好調なスタートを切った。
売上全体のうち、小売売上は12億1,600万ユーロで前年比13%増、卸売は9,600万ユーロで7%増、ロイヤリティ収入は2,900万ユーロで15%増となった。小売部門はフルプライスでの同一店舗売上が成長を牽引した。
ブランド別では、プラダは前年同期比横ばいながらも高い比較対象に対して耐性を示し、安定したパフォーマンスを維持した。一方、ミュウミュウは前年比60%増という著しい成長を遂げ、レザーグッズを筆頭に、プレタポルテやフットウェアなど複数カテゴリで好調を見せた。
地域別では、アジア太平洋地域が前年比10%増、ヨーロッパは14%増、アメリカは10%増と、それぞれ安定した伸びを記録。日本は前年比18%増と堅調に推移したが、成長のペースはやや穏やかになりつつある。中東は26%増で最も高い成長率を示し、地域別で最高のパフォーマンスを記録した。
プラダはこの四半期中に、上海の歴史的建築「榮宅(Rhong Zhai)」にて、著名映画監督ウォン・カーウァイ(Wong Kar Wai)の演出による没入型ダイニング体験「Mi Shang Prada」を開始したほか、シンガポールでは「Prada Caffè」をオープン。さらに、ニューヨークの5番街にはメンズ専門店を新設するなど、グローバルなブランド体験の強化を進めている。
ミュウミュウにおいても、シグネチャーであるマテラッセ(Matelassé)を祝した2025年春キャンペーンをはじめ、「Miu Miu Gymnasium」と題したスポーツ着想のポップアップ、カスタムオーダーに対応する「Miu Miu Custom Studio」などの新施策を展開し、ブランドの存在感と文化的影響力を一層高めた。
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プラダグループ会長兼エグゼクティブ・ディレクターのパトリツィオ・ベルテッリ(Patrizio Bertelli)は次のようにコメントしている。
「不安定で不確実性の高まる情勢の中でも、当社は創造性と組織の強みを活かし、自信と規律をもって事業を遂行し、また四半期を通じて堅実な成果を出せたことを嬉しく思います。こうした環境では柔軟さと俊敏さが求められますが、同時に、クラフツマンシップやノウハウを守り育てること、パートナーを支援すること、インフラを強化することなど、長期的視点での投資も欠かせないと考えています。」
また、グループCEOのアンドレア・グエッラ(Andrea Guerra)も、「グループは力強いスタートを切った」と評価。特にプラダブランドが、2024年で最も厳しい比較対象である第1四半期に対しても高い耐性を示した点を強調し、「後半には比較対象がやや緩和される見通しですが、依然として複雑な状況が続くと予想しています。それでもミュウミュウは、目覚ましい成長を維持しています」と語った。
さらに、「当社の戦略は、ブランドの存在意義、創造性、そして時代精神を読み取る鋭敏な感性に基づいています。このような環境下では、精度の高い実行力こそが、堅実かつ持続可能で市場を上回る成長を実現するための鍵になると考えています」と付け加えた。
なお、プラダグループは2025年4月10日、ヴェルサーチ(Versace)をカプリ ホールディングス(Capri Holdings)より12億5,000万ユーロで買収する計画を発表しており、規制当局の承認を経て2025年後半に取引完了を見込んでいる。
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