5月6日(現地時間)、米大手ビューティーカンパニーのコティ(Coty Inc.)が、2025年度第3四半期(2025年1月〜3月)の決算を発表した。純損失は4億900万ドル、売上は前年同期比で6%減の12億9,910万ドルとなり、アナリスト予想の13億ドルを下回る結果となった。
特筆すべき点は、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)のビューティーブランド「Skkn by Kim」の株式20%を手放したことに伴い、7,110万ドルの損失を計上したことだ。コティは2022年にカーダシアンのビューティービジネスへ2億ドルを出資しており、その後「Skkn by Kim」を立ち上げたが、今年3月にカーダシアンが同ブランドの全経営権を取り戻したことで、今回の損失が発生した。
プレミアム事業の売上は4%減、コンシューマービューティー部門は9%減と、主要セグメントで軒並み減収となった。特に、これまで売上をけん引してきたプレミアムフレグランス部門も成長率が鈍化し、今四半期は「中程度の伸び」に留まったとされる。
また地域別では、アメリカ地域の売上が10%減、EMEA(欧州・中東・アフリカ)は3%減、アジア太平洋地域は5%減となっている。
最高経営責任者(CEO)のスー・ナビ(Sue Nabi)は決算発表の中で「売上には満足していませんが、コティの強固なファンダメンタルズに加え、イノベーション、流通、効率化を加速させる多面的な成長戦略があることで、今後の数年間にわたって自信を持っています」と述べた。
さらに同社は、パンデミック期に始動した構造改革プログラム「All-in to Win」の次フェーズに移行することを発表。最大700人の人員削減を含む組織再編を行い、業務効率化とコスト削減を図る。これにより、年間1億3,000万ドルの固定費削減を見込むと同時に、ブランドの再投資能力を高めるとしている。
この改革の背景について、ナビは次のように述べている。
「私たちが『All-in to Win』プログラムを初めて発表したのは、COVID-19の混乱がピークに達していたFY20のことでした。当初の目的は、固定費構造の大幅な削減、サプライチェーンの簡素化、調達コストの最適化、戦略的価格管理などを通じて、利益率とブランド再投資力を強化することでした。近年のビューティー業界と世界経済における循環的・構造的な変化Eコマースの急成長、小売チャネルの統合、消費者による新たなブランド発見手法の登場を受けて、コティは再び進化を遂げなければならないと考えています。」
新たなコティの組織構造では、主要市場における業務の簡素化、バックオフィス機能の効率化、イノベーションの推進力強化、人件費以外の固定費削減を中心に進められる予定である。
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