ファッション業界を代表する2つのPRエージェンシー、ルシアン・パジェス(Lucien Pagès)率いる「ルシアン・パジェス・コミュニケーション(Lucien Pagès Communication)」と、アダム・イエッツィ(Adam Iezzi)が創業した「AIPR」が、英国市場に向けて新たなステージへと踏み出した。両社はこのたび、ジョイントベンチャー「Lucien Pagès & AIPR」を立ち上げ、ロンドンを拠点に本格的な展開を開始する。なお、ルシアン・パジェス・コミュニケーションのパリおよびニューヨークの拠点は、引き続き独立した体制で運営される予定である。
この合流の背景には、2024年12月にルシアン・パジェス・コミュニケーションがザ・インディペンデンツ(The Independents)の傘下に加わったことがある。同グループは、カルラ・オットー(Karla Otto)、レフティ(Lefty)、ビューロー・ベタック(Bureau Betak)など、世界的に著名なエージェンシーを擁するグローバルPR企業であり、近年積極的なM&A戦略を進めている。
ルシアン・パジェスとアダム・イエッツィはこれまでも、JWアンダーソン(JW Anderson)、ロエベ(Loewe)、APCといったブランドでクライアントを共有してきた。両者の協業は自然な流れであり、今回の提携はそれを正式な形にしたものだ。さらに両者は、若手デザイナーの才能を早期に見出し、世界に送り出す点でも共通の強みを持つ。イエッツィは、JWアンダーソンがブランドを立ち上げた直後から支援を開始し、パジェスはサカイ(Sacai)の阿部千登勢(Chitose Abe)や、サイモン・ポート・ジャックムス(Simon Porte Jacquemus)を欧州市場で初期からサポートしてきた。
ザ・インディペンデンツのCEO、イザベル・シューヴェ(Isabelle Chouvet)は今回の提携について、次のようにコメントしている。
「この合併は、起業精神を支援し、理にかなった形で成長を促すというザ・インディペンデンツの価値観を体現しています。これは従来の“買収”とは異なり、2社が真に手を取り合う、非常にエキサイティングな展開なのです。」
ザ・インディペンデンツは、2023年にタワーブルック・キャピタル・パートナーズ(TowerBrook Capital Partners)およびバニジャイ・グループ(Banijay Group)の主導によって、4億ドルの資金調達を実施。2022年に3億5,000万ドルだった売上は、2024年には8億ドルへと倍増しており、グローバルな事業拡大と戦略的買収によって急速な成長を遂げている。
ロンドンという国際都市に新たな旗を掲げた「Lucien Pagès & AIPR」。このパートナーシップが今後、ファッションPRの勢力図にどのような変化をもたらすのか、大きな注目が集まっている。
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