バーバリー(Burberry)、業績悪化を受けて世界で最大1,700人の人員削減を発表

Burberry

5月14日(現地時間)、英ラグジュアリーブランドのバーバリー(Burberry)は、2025年3月までの会計年度における決算を発表し、売上高が前年同期比で17%減の24億6,100万ポンド、営業損益は3百万ポンドの赤字に転落したことを明らかにした。前年は4億1,800万ポンドの黒字であったことから、その落差は大きく、現在のラグジュアリー市場の厳しさを如実に物語っている。

特に小売事業においては、既存店ベースでの売上が12%減少。上期は20%の大幅なマイナスであったが、下期は5%減にとどまり、広告キャンペーンとブランド戦略の修正によって一定の効果が見られた。アウターウェアやスカーフといったバーバリーの中核商品は、比較的健闘を見せたという。

このような状況を受け、バーバリーは2027年までに最大1,700人の人員削減を伴うコスト削減策を発表した。これは、昨年11月に発表された4,000万ポンドのコスト削減計画に加え、追加で6,000万ポンドの削減を目指す新たな施策である。

対象となるのは、ロンドンを中心とした本社部門が中心であり、店舗ではシフトの再構成が行われる予定だ。また、イギリス・ヨークシャー州キャッスルフォードにあるトレンチコート工場では夜勤シフトを廃止する方針で、約150人の熟練工が影響を受けるとされる。

さらに、経営改革の軸として、同社は2024年11月に中期戦略「Burberry Forward」を発表しており、その中ではブランドの創業理念に立ち返るかたちで「Timeless British Luxury(時代を超えた英国のラグジュアリー)」を再定義することが掲げられている。この戦略は、顧客中心の視点を軸に、(1)ブランドの再構築、(2)アウターウェア中心の商品強化、(3)製品と顧客に即したディストリビューション戦略、(4)高パフォーマンス文化の再活性化という4本の柱で構成されている。とりわけ、「最も本物らしさがある分野に最大の成長機会がある」とする価値観が戦略全体の根底にあり、トレンチコートやスカーフといった象徴的なカテゴリーを軸とするブランドの再活性化が進められている。

ジョシュア・シュルマン(Joshua Schulman)最高経営責任者(CEO)は、「お客様は“Timeless British Luxury(時代を超えた英国のラグジュアリー)”というブランド表現に反応しており、ブランド好感度の向上とともに、秋冬コレクションの店舗展開に向けてキャンペーンの頻度とリーチを強化していきます。特に、アウターウェアやスカーフといった真の強みを持つカテゴリーが堅調であることは、当社に最も大きな成長機会がある分野であるという私の確信を裏付けています」とコメントしている。

2025年3月期の売上の地域別内訳では、アジア太平洋地域が最も影響を受け、特に中国本土や韓国での売上減が顕著であった。英国市場でも、2021年に廃止されたVAT(付加価値税)免除制度の影響で、海外観光客による売上が大きく減少した。

近年は、ラグジュアリー業界全体も同様に苦境にあり、LVMHやケリング(Kering)など大手グループも軒並み株価を下げている。中でもバーバリーは、過去1年間で約25%の市場価値を失っている。

なお、クリエイティブディレクターであるダニエル・リー(Daniel Lee)の退任が注目されていたが、今回の改革の中でもその役職に変更はない。

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