米国の繊維リサイクル企業『サーク(Circ)』、世界初のポリコットン再生工場をフランスに建設へ

Circ

世界中で年間9200万トン以上の繊維廃棄物が排出される中、再利用が困難とされてきたポリエステルとコットンの混紡素材(ポリコットン)に革命が起きようとしている。

米国の繊維リサイクル企業サーク(Circ)は、フランス・サン=アヴォルド(Saint-Avold)にて世界初の商業規模ポリコットン再生施設を建設する計画を発表した。この施設は、2028年の稼働開始を目指し、年間7万トンのポリコットン廃棄物を新たな繊維原料として再生可能にする技術を提供する。

工場の建設費は約4億5000万ユーロ(約5億ドル)で、稼働後は200人規模の雇用創出が見込まれている。なお、同計画はフランス政府および欧州連合の支援を受けており、2025年5月に開催された経済開発サミット「Choose France」において正式に発表された。

このプロジェクトの中核を担うのは、サークが独自に開発したハイドロサーマル技術だ。同技術は、ポリエステルとコットンの混紡繊維を効率的に分離し、双方の素材を高品質な形で回収・再利用することを可能にする。従来はリサイクルが極めて困難とされてきたポリコットン素材に対して、産業的なスケールでの再資源化を実現した点において、サークは繊維業界の循環化に向けた技術的ブレークスルーを達成したと言える。

この革命的なプロジェクトについて、代表のピーター・マジェラノウスキー(Peter Majeranowski)は次のように語っている。

「この瞬間こそ、サーク創業以来、私たちが目指してきたものです。この初のフルスケール工場により、循環型ファッションが世界経済の重要な転換点を越えることになります。繊維産業の未来は脱炭素化され、廃棄を減らし、再生的な設計が可能だということを証明します。サークにとっての大きな節目であると同時に、地球が拡張可能な気候解決策を必要としているこの時代において、循環型経済全体にとっての突破口でもあります。」

国連環境計画によれば、ファッション業界は全世界の温室効果ガス排出量の最大10%を占めており、国際航空業界と海運業界を合わせた排出量よりも多い。また、世界で生産された繊維製品のうち、繊維として再利用されるのはわずか1%未満にとどまるという。

サークの挑戦は、こうした業界の構造的な課題に対する「実行可能なソリューション」として世界から注目を集めている。また、今回建設されるフランスの施設は、同社にとってのフラッグシップ拠点であると同時に、今後北米やアジアへの展開を見据えたモデルケースでもある。

なお、プロジェクトには、世界的なエンジニアリング企業であるウォーリー(Worley)、ジーイーエー(GEA)、アンドリッツ(Andritz)も参画。インフラから運用面まで、産業レベルでの再現性を前提とした構築が進められている。

 

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