5月29日(現地時間)、米国の大手コスメティック小売企業「アルタ ビューティ(Ulta Beauty)」が、2025年度第1四半期(2025年2月〜5月)決算を発表した。売上高は前年同期比4.5%増の28億4840万ドルに達し、アナリスト予想(LSEG調べ)の27億9000万ドルを上回る結果となった。
売上の成長をけん引したのは、「ミルク メイクアップ(Milk Makeup)」や韓国発スキンケアブランド(Kビューティ)といった新商品の投入、そして若年層を中心としたトレンド感のある低価格ブランドへの支持である。特に「エルフ ビューティ(e.l.f Beauty)」が好調で、Z世代を中心にリップやスキンケア製品の需要が伸びている。
さらに、リアーナ(Rihanna)が手掛ける「フェンティ ビューティ(Fenty Beauty)」などのセレブリティブランド導入や、デジタル施策への継続的な投資も、顧客数増加に寄与した。既存店売上は2.9%増加。客単価が2.3%、取引数が0.6%上昇している。
利益面では、純利益が3億510万ドル、調整後1株利益は6.70ドルとなり、こちらも市場予想(5.81ドル)を大きく上回った。特筆すべきは、在庫ロスや損傷の減少がコスト圧力の一部を相殺した点である。粗利益率は39.1%で、前年の39.2%とほぼ横ばいであった。
同社は、2025年度通期の業績見通しも引き上げており、1株利益の予想レンジを22.65〜23.20ドルに修正(従来は22.50〜22.90ドル)。既存店売上高の成長率見通しも、0〜1%から0〜1.5%へと上方修正した。
2025年度第1四半期決算について、CEOのケシア・スティールマン(Kecia Steelman)は、「2025年度は予想を上回る好調なスタートを切ることができました。『Ulta Beauty Unleashed』プランが顧客の共感を呼び、チームにも活気をもたらし、成長を後押ししています」と声明でコメント。
『Ulta Beauty Unleashed』プランとは、アルタ ビューティが掲げる中長期戦略の一環であり、ブランド力の強化、店舗とECの融合によるオムニチャネル戦略の推進、パーソナライズされた顧客体験の提供、そしてサステナビリティへの取り組みを軸にした成長戦略である。近年では、トレンド感ある新ブランドの導入や、デジタルマーケティングの強化を通じて、Z世代やミレニアル世代を中心とした新たな顧客層の獲得にも注力している。
スティールマンは、今後の事業環境についても触れ、「経済環境は依然として流動的であり、当社の見通しは、消費者需要の変化に対する不確実性を織り込んだものとなっています」と述べた。
アルタ ビューティは、第1四半期中に6店舗を新規出店し、4店舗を改装、2店舗を移転させた。現在の合計店舗数は全米1451店舗となっている。
カテゴリー別の売上構成比では、「コスメ」が40%で依然として中心を占めるが、前年の42%からはやや減少。一方で、「スキンケア・ウェルネス」カテゴリーは23%から25%へと伸長しており、今後の重点領域と位置づけられるだろう。
なお、2025年度第1四半期中の自社株買いは約98万株、金額にして3億5870万ドルが実施されており、株主還元にも積極的な姿勢が見て取れる。
経済環境が不透明さを増す中、アルタ ビューティは製品力とブランド戦略、そして柔軟な店舗・デジタル運営で、引き続き米国ビューティ市場の中心に位置し続けている。
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