キアラ・フェラーニ(Chiara Ferragni)、ローマ店閉鎖とともにブランド再構築へ

Chiara Ferragni

イタリアを代表するファッションインフルエンサーであり実業家のキアラ・フェラーニ(Chiara Ferragni)が、自身の名を冠したブランドのローマ直営店を閉鎖することを発表した。2023年秋にオープンした同店はわずか1年足らずでの撤退となり、今回の決断はブランド全体の抜本的な見直しの一環として位置付けられている。

親会社フェニーチェ(Fenice srl)によれば、この動きはブランドのポジショニングを再構築し、市場における存在感を強化するという長期的な戦略に基づくものだという。また、フェラーニ自身が640万ユーロ(約10億円)の増資を全額引き受け、持株比率をほぼ100%に引き上げたことも明らかになっている。フェラーニは声明で「このリスタイリングは、私たちの長期的な戦略ビジョンの一部であり、ブランドのポジショニングを再構築し、市場での存在感を強化することを目的としています」と語っている。

加えて、フェニーチェ社は小売子会社であるフェニーチェ・リテール(Fenice Retail srl)の清算も発表。これにより、事業構造の簡素化と、より戦略的価値の高い領域への集中が進められる。実店舗の整理とともに、オンラインおよびオフライン双方における新たな販売戦略の検討も進行中であり、デジタルチャネルでの存在感を強化し、実店舗のパフォーマンスを最適化することが目的とされている。

閉鎖の対象となったローマ・バブイーノ通りの店舗は、開業当初から注目を集めた一方で、入場条件として150ユーロ以上の購入が必要だったことなどが物議を醸していた。さらに、2024年元日に、何者かが”追放者(bandita)”や”詐欺師(truffatrice)”などの落書きを店舗のショーウィンドウにし、被害を受けたことでも話題となった。この背景には、ドルチ・プレツィオージ(Dolci Preziosi)のイースターエッグやバロッコ(Balocco)のパンドーロに関連したチャリティ商品の収益に関する疑惑がある。フェラーニは当初寄付として販売を行っていたが、実際の使途を巡ってコダコンズ(Codacons)と検察当局から疑義が呈されていた。その後、フェラーニ側は和解に応じ、消費者への補償に加え、暴力被害女性支援団体に20万ユーロの寄付を行った。

ブランドの財務状況も大きく揺れている。2023年には売上高が1430万ユーロから1100〜1200万ユーロへと減少。2024年にはさらに急落し、11月末時点での売上は200万ユーロを下回り、2年間での累積損失は約1000万ユーロに達すると報じられている。

それでも企業は、厳しい状況の中で再生に向けた前向きな姿勢を崩していない。事業コストの大幅な削減や人員の半減に加え、フェラーニ個人の持株会社であるシスターフッド(Sisterhood)本社への移転など、構造改革を着実に進めている。

フェニーチェ社は、「この再始動は透明性と信頼性を基本原則としたものであり、2025年後半には新戦略の成果が目に見える形で現れ始めるだろう」と述べている。

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