ユニリーバ(Unilever)、急成長中の「Dr. Squatch」を買収ー メンズグルーミング市場を強化

brand Dr. Squatch, Unilever

6月23日(現地時間)、パーソナルケアの世界的リーダーであるユニリーバ(Unilever)が、ナチュラル志向のメンズパーソナルケアブランド「ドクター スクワッチ(Dr. Squatch)」を買収する契約を締結した。売却元は米成長投資会社サミット・パートナーズ(Summit Partners)で、買収額は非公開。本件は、年内の取引完了を予定しており、規制当局の承認などの条件を残している。

Z世代に支持されるカルチャー系ブランド

2013年に米国で誕生したドクター スクワッチは、石鹸やボディウォッシュ、デオドラント、ヘアケア、スキンケアなど、天然由来成分を用いた高品質な製品で知られる。特に、男性向けナチュラル製品というニッチを突いたブランディングと、SNSを駆使したバイラルマーケティングにより、Z世代やミレニアル世代の支持を獲得。ブランド独自の世界観やユニークな香りのラインアップは、メンズグルーミングの再定義とも言える存在感を放っている。

ユニリーバのパーソナルケア部門プレジデント、ファビアン・ガルシア(Fabian Garcia)は「Dr. Squatchは、米国市場において非常に高い支持を集めており、巧みなデジタル戦略と製品力を兼ね備えています。今後はユニリーバの国際的なネットワークを活かし、グローバル展開を加速していきます」とコメント。ドクター スクワッチの強みであるD2Cチャネルとカルチャードリブンなブランド構築力は、ユニリーバが注力するプレミアム&高成長領域の戦略とも合致する。

また、ドクター スクワッチのCEO ジョシュ・フリードマン(Josh Friedman)は、「当ブランドのミッションは男性がより幸せで健康的な人生を送ることをサポートすることです。ユニリーバという世界的なパートナーとともに、さらなるスケールアップと国際展開を目指していきます」と語っている。

同ブランドは、デジタルを主軸にしながらも、米国や欧州の小売市場にも広がりを見せており、今後の多国籍展開とチャネル拡大によって、市場での存在感はさらに増していくと予想される。

Unilever

メンズパーソナルケア市場の成長を象徴するM&A

ユニリーバによるドクター スクワッチの買収は、近年注目されているメンズ美容・グルーミング市場におけるトレンドの象徴でもある。スタティスタ(Statista)の調査によると、メンズパーソナルケア市場は米国市場だけでも2023年時点で約130億ドル規模に達し、2028年までに年平均成長率約6〜8%での拡大が見込まれている。また、マッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)の『The State of Fashion 2023』レポートによれば、Z世代やミレニアル世代を中心に、自己投資としての美容・ウェルネス意識が高まっており、スキンケアやヘアケア、デオドラントといったカテゴリの需要が確実に増しているという。

これまでユニリーバは、アックス(Axe)やダヴ メン+ケア(Dove Men+Care)といったブランドを通じてメンズ市場に取り組んできたが、今回、カルチャー性と共感力の高いドクター スクワッチのようなブランドをポートフォリオに加えることで、より現代的かつ多様な価値観に対応するブランド戦略を確実に強化している。こうした背景での同買収は、ユニリーバがメンズ美容・グルーミング市場において競争優位性をさらに高め、既存ブランドとのシナジーを創出する上でも、極めて戦略的な動きである。

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