ルイ ヴィトン(Louis Vuitton)、メゾンの美学と文化を凝縮したクルーズ船型新店舗「The Louis」を上海にオープン

Louis Vuitton Extraordinary Journey

6月28日(現地時間)、ルイ ヴィトン(Louis Vuitton)は、中国・上海の南京西路ビジネス地区に位置する高級ショッピングモール「興業太古滙(HKRI Taikoo Hui)」に、新店舗「ザ・ルイ(The Louis)」を正式オープンした。高さ30メートルに及ぶこの船型施設は、ルイ ヴィトンの原点であるトラベルトランクと、上海という都市の持つ海の記憶とが融合した、前例のない体験型ストアだ。

船体をかたどった外観には、メゾンのアイコンであるクラシックトランクを模したキャビン構造と、モノグラムをあしらった煌びやかな外装が施されている。都市の中心に突如現れたこの航行しない船は、ブランドの歴史と未来を語る文化的ハブとしての役割を担う。

LVMHグレーターチャイナ プレジデント、ウー・ユエ(Wu Yue)はこの構築物について、「上海の万川を受け入れるという精神性と、前進し続ける国際都市としての姿勢を体現しています」とコメント。

また、ルイ ヴィトンの会長兼CEO、ピエトロ・ベッカリ(Pietro Beccari)は、「この新しい空間は、アイデアや感情、インスピレーションを通じて、旅する精神を祝福する文化進化の一章です」と語っている。

建築×展示×ホスピタリティが織りなす、ブランド体験の新境地

総面積約1,600平方メートルにわたる「The Louis」は、リテール、エキシビション、カフェの3要素をシームレスに融合。まさに、ルイ ヴィトンが提案するエクスペリエンシャル・ラグジュアリーの体現と言える空間だ。

中心となるのは、店舗の1〜2階(約1,207平方メートル)にある、建築設計集団OMAのニューヨークパートナーである重松象平が手がけた展示「ルイ ヴィトン・エクストラオーディナリー・ジャーニー(Louis Vuitton Extraordinary Journey)」。展示は全10部屋に分かれ、メゾンの海洋文化との関係性や、旅・クラフツマンシップ・知性・スポーツ・ファッションの進化といったテーマが立体的に表現されている。

例えば、「Perfume Room」では、ヴィンテージのトイレタリーキットを通じて、香りという無形のラグジュアリーを展開。「Book Room」では、創業者の孫であり文筆家でもあったガストン・ルイ・ヴィトンの著作や講演資料を展示している。また、「Sports Room」では、F1やFIFAワールドカップ、オリンピックに関連したスポーツギアや特注トランクが並び、ブランドが築いてきたグローバルカルチャーとの結節点を提示。

さらに、職人の手仕事を間近で見られる「Workshop」や「Testing」では、ルイ ヴィトンのものづくりに宿る技術と美学をリアルに体感することができる。

なお、同展示は、7月15日〜9月17日にかけて大阪の中之島美術館でも巡回予定となっている。

2 10

3 7

上海初登場「Le Café Louis Vuitton」で味わうガストロノミーの旅

さらに、最上階には、上海初となる「ル・カフェ・ルイ ヴィトン(Le Café Louis Vuitton)」が登場。ビストロ形式の店内では、シェフのレオナルド・ザンブリノ(Leonardo Zambrino)とパティシエのゾー・ゾウ(Zoe Zhou)が手がける、ローカル素材とフレンチテクニックのクロスオーバー料理が提供される。

シグネチャーメニューには、モノグラムモチーフを纏った中華風ラビオリ「モノグラムラビオリ」、柚子を効かせた「シーザーサラダ・エクリプス」など、五感を刺激するラインナップが揃う。デザートでは、「ピーチシャルロット・ジャスミンティー風味」や南国フルーツのパブロバが、目にも舌にも華やかな余韻を残す。

Louis Vuitton Extraordinary Journey

文化的フラッグシップという新戦略

なお、こうした取り組みは、単なる新店舗オープンという枠を超え、リテールを文化体験に昇華させるという、ルイ ヴィトンのグローバル戦略の最前線を象徴するものだ。

メゾンの歴史、哲学、そして未来を語る空間として、かつて旅をする人々の荷物を運んだトランクは、今、都市と人の記憶を運ぶ文化の器として、新たな航海に出ている。

5 1

Copyright © 2025 Oui Speak Fashion. All rights reserved.