7月10日(現地時間)、アーティストのジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)が構想を温めてきた新たなファッションブランド「スカイラーク(Skylrk)」が、ついにその全貌を現した。およそ1年半前からビーバー本人のインスタグラムを中心に断片的に示唆されていたこのプロジェクトは、本日公式オンラインストアの開設と共に正式にローンチされた。
初のコレクションは、フーディ、タンクトップ、ビーニー、サングラス、そして2種類のフットウェア(チャンキーミュールとビーチスライド)で構成されており、全体を通して鮮やかなキャンディカラーが印象的だ。各アイテムには、「Fizz」「Gum」「Jelly」といった色名が付けられ、遊び心にあふれたデザインに仕上がっている。また、”Upside Down”と名付けられたサングラスは、ぷっくりとしたバブル状のレンズとオーバーサイズのフレームが印象的で、ポップさの中に近未来的なムードも漂う。
ブランドのリードデザイナーを務めるのは、スコットランド出身で元プロサッカー選手という異色のキャリアを持つフィン・ラッシュ=テイラー(Finn Rush-Taylor)。ラッシュ=テイラーは、これまでアディダス(Adidas)、プーマ(Puma)、ヴィヴォベアフット(Vivobarefoot)、クロックス(Crocs)など、スポーツおよびサステナブル領域のブランドで経験を重ねてきた。
今回のブランドローンチに際して、大々的なキャンペーンやプロモーションは展開されていない。ビーバー自身が「Soooooo exciteddddddd for @skylrk」とインスタグラムに投稿したのみで、あくまで控えめかつ自然体な発信にとどめている。一方で、妻でありインフルエンサーとしても絶大な影響力を持つヘイリー・ビーバー(Hailey Bieber)が、スカイラークのローブを着たミラーセルフィーを投稿し、さりげなくブランドの存在感を後押し。ビーバーもそれに反応し、「Not the Skyleezy robe」とキャプションを添えてリポストしており、夫婦ならではの軽やかで巧妙な連携が話題性を生み出した。
スカイラークは、ロゴ主導のストリートウェアとは異なり、シルエットと色彩に重点を置いたミニマルで洗練されたアプローチを採っている。価格帯も、ビーニーが40ドル、サンダルが80〜180ドル、サングラスが200ドルと、品質と手の届きやすさのバランスを意識した設定だ。これは、ファンベースを意識しつつも、より広いファッション市場に対する姿勢を反映していると読み取れる。
なお、スカイラークの誕生は、ビーバーが2018年にスタイリストのライアン・グッド(Ryan Good)と共同設立したブランド「ドリューハウス(Drew House)」からの決別を意味する動きでもある。ドリューハウスは、ビーバーのミドルネーム「Drew」に由来し、スマイリーフェイスをシンボルに据えたリラックス感のあるフーディやスウェットを中心に展開され、ローンチ当初からファンやセレブリティの間で高い人気を誇った。しかし近年、ビーバーは同ブランドから距離を置くようになり、「もはや自分のクリエイティブビジョンとは一致しない」として関係を解消。スカイラークは、彼自身の美意識や創作の方向性をより明確に反映した新たなプロジェクトとして立ち上げられた。
こうした背景を踏まえると、スカイラークは単なるブランドの刷新ではなく、ビーバーの次なる表現のステージと捉えられるだろう。ただ、ストリートウェアブランドが飽和する現在の市場において、スカイラークがどこまで独自のポジションを築けるかは未知数だ。現時点では、ビーバーという強力なパーソナルブランドの影響力に支えられている面も大きいが、彼が今後どのようにクリエイティブを進化させていくのか、その歩みに引き続き注目していきたい。
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