リシュモン(Richemont)、2026年度第1四半期は売上6%増ー カルティエとヴァン クリーフが牽引

Richemont

7月16日(現地時間)、スイスのラグジュアリーグループ「リシュモン(Richemont)」は、2026年度第1四半期(2025年4月〜6月)の業績を発表した。グループ全体の売上高は、為替一定ベースで前年同期比6%増の54億ユーロ。世界的な景気減速が続く中でも、ジュエリー部門の力強い成長が全体をけん引し、市場予想とおおむね一致する結果となった。

とりわけカルティエ(Cartier)やヴァン クリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)を擁するジュエリー部門は、前年比11%増と好調を維持。一方、ヴァシュロン コンスタンタン(Vacheron Constantin)やジャガー ルクルト(Jaeger-LeCoultre)などを展開する時計部門は7%減となったものの、前四半期の11%減からはやや持ち直している。

地域別では、欧州・米州・中東アフリカがいずれも2桁成長を記録。特に米国市場を中心としたアメリカ地域は17%増と大きく伸長し、HSBCが示していた12%増の予測を上回った。アジア太平洋地域全体は横ばいであったが、中国・香港・マカオでの7%減を、その他のアジア市場における堅調な売上が補った結果に。

一方で、現在、スイス時計業界全体を取り巻く環境は厳しさを増している。米国による新たな関税の可能性や、世界的な需要減退の影響を受け、スイス製腕時計の輸出は2020年のパンデミック時以来の低水準に落ち込むとの懸念が広がっている。こうした状況の中で、リシュモンはジュエリー事業への注力により、競合との差別化を図っている。

株式市場でもこの戦略は好意的に受け止められており、リシュモン株は2025年初頭から9%上昇。7月16日午前の取引開始直後には、一時2.4%高となった。これに対し、競合のLVMH モエ ヘネシー ルイ ヴィトン(LVMH Moet Hennessy Louis Vuitton)は、年初来で25%以上の株価下落という苦戦を強いられている。

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